ストラティス(Stratis)とは?一般企業にブロックチェーンを導入できる仮想通貨を解説。
仮想通貨では、そのプラットフォームごとに開発言語や環境が違う上に、開発自体も非常に難しいため、技術者が不足しています。
この問題を解決すべく、世界中のエンジニアが精通している「C#言語」で開発を可能としたのが、ストラティス(Stratis/STRAX)です。
ストラティスは、一般企業でも簡単に、ブロックチェーン技術を導入できる世界を目指しています。
この記事では、ストラティスの概要や主な特徴、そして現在までの推移と将来性について、詳しく解説します。
目次
ブロックチェーン開発のプラットフォーム
ストラティスは、ブロックチェーン開発のためのプラットフォームとして、2016年に誕生しました。
運営には、クリス・トルー氏という人物が設立したイギリスの企業「ストラティスグループ」が携わっています。
同社は、ブロックチェーンの導入コンサルタント業もしていることもあって、国際的な金融センターでもあるロンドンに本社を構えています。
トルー氏は、2016年当時の仮想通貨市場には「企業に特化したブロックチェーン・プラットフォーム」という視点が欠けていると感じており、ここに活路を見出して会社を立ち上げました。
彼はまた、ビットコインが仮想通貨の王様になることを見通しており、ストラティスを開発するベースとして、ビットコインのプロトコルを選んでいます。
また、ストラティスは世界最大のソフトウェア会社であるマイクロソフトと提携し、公開時は急拡大に成功しているのです。
ストラティスの開発環境は「C#」というメジャーなプログラミング言語であり、参入しやすいという特徴があります。
トルー氏も、独学でC#を学んだ上で、法律関係や航空分野、公共部門、金融機関において合計10年間、さまざまなIT業務に携わってきた経験を持っています。
なお、ストラティスのプラットフォーム上には、「STRAT」というトークンが流通していましたが、2020年に「STRAX」へ切り替わっています。
なお、マイニングアルゴリズムは、ビットコインと同じ「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」です。
ストラティスは2021年11月現在、1STRAX=220円前後で取引されており、時価総額は約310億円、仮想通貨市場ランキング第293位の規模を保持しています。
一般企業でも簡単にブロックチェーンを導入できる
ストラティス最大の特徴は、前述の通り開発言語に「C#」を採用している点です。
ブロックチェーンにおいては、それぞれが異なるマイナー言語を採用しているため、仮想通貨に携われる開発者が不足しています。
一方、C#は、扱えるエンジニアが世界で数千万人いる、たいへんメジャーな言語。
ストラティスは、メジャーな言語を採用した上で開発しやすい環境を実現することで、多くのプログラマーが参入できるように図っています。
ストラティスは2018年、マイクロソフトの認定パートナーとなり、提携を果たしました。
この提携によって、分散型アプリケーションを「Microsoft .NET Framework」を用いて開発できるようになり、開発コストが抑えられるようになったのです。
また、マイクロソフトの大手企業のシステムを手掛けるシステム開発部門「Microsoft Azure」と共同で「Stratis Development Platform」という開発環境を用意。
このプラットフォームを使えば、一般企業でも簡単に「プライベートブロックチェーン」と呼ばれる、独自のネットワークを社内に構築できます。
ストラティスには、さらに「Cloud Stratis」という技術が採用されています。
これは、ビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)など、有名なブロックチェーンを取り込める機能であり、本来であれば専門のエンジニアが必要な技術です。
しかしCloud Stratisは、マイクロソフト社に依頼するだけで、簡単にブロックチェーンを社内ネットワークに組み込めるようになっています。
このようにストラティスは、開発しやすい環境をつくることで、一企業でも簡単にブロックチェーンが構築できるようにして、その普及を目指しています。
ストラティスの推移と将来性
ストラティスは、2016年の公開後、世界最大の取引所poloniex(ポロニエックス)に上場し、さらに大手取引所Bittrex(ビットトレックス)にも上場を果たしました。
また、発行枚数の上限9,800万枚のうち、約8割をICO(仮想通貨のトークンセール)で販売、60万ドルの資金調達に成功しています。
仮想通貨バブルの波にも乗り、公開直後は5円程度だったストラティスは、2018年初頭には1STRAT(当時)=2,460円まで値が上がりました。
しかし、その後は状況が一変。
仮想通貨バブルが弾けると、ストラティスも急激にその値を落とし、2020年には20円を割り込むところまで暴落しました。
2021年の上昇相場では387円まで上げますが、現在は220円前後で取り引きされています。
なお、ストラティスはプロジェクトの名前であり、当初、この中で流通しているトークンが「STRAT」でした。
しかし2020年11月、STRATトークンに代わって「STRAX」を使った新しいブロックチェーンの展開を始めています。
また同時に、ストラティスより2020年の年末から2021年前半にかけた、最新の開発ロードマップが発表されました。
そこでは、イーサリアムとの相互運用性、Internet of Thingsソフトウェア開発キット、分散型金融ソフトウェアライブラリ、分散型自治組織の立ち上げなどが公表されています。
まとめ
以上、ストラティスの概要や主な特徴、そして現在までの推移と将来性について、詳しく解説しました。
ストラティスは、一般企業でも簡単にブロックチェーン技術が導入可能という、画期的なプラットフォームです。
しかし、マイクロソフトに開発を依存しており、サービスのほとんどが、マイクロソフト社の技術によってつくられているため、同社の動向によっては、将来足かせになるかもしれません。
提携解消となったら、ストラティス単体では何もできないのです。
ストラティスの課題は「リスク分散」であり、ここを注視していくべきでしょう。
参考文献
仮想通貨Stratis(ストラティス/STRAT)の特徴、価格、将来性は?