ストレージ(Storj)とは?分散型クラウドサービスを提供する仮想通貨を解説。

by AIGRAM

決済手段として開発されたビットコインをはじめ、仮想通貨はさまざまな目的を持って設計されています。
今回紹介する「ストレージ(Storj/STORJ)」は、現在のクラウドストレージサービスの問題点をクリアしようと設計されたプラットフォームです。
この記事では、ストレージの概要や主な特徴、そして将来性について、詳しく解説します。

目次

分散型ストレージサービスを提供するストレージ

ストレージは、「分散型ストレージサービス」を提供するプラットフォームです。
ブロックチェーン上では、同じ読み方となる「STORJ」という単位の仮想通貨が流通しています。

現在、Appleの「iCloud」をはじめ「Google Drive」や「Dropbox」、そしてマイクロソフトの「Onedrive」など、数々のクラウドストレージが提供されています。
これらは全て1つの企業によって運営されており、言わば中央集権的なサービスです。
そのため、企業の都合によってサービスが終了してしまったり、ハッキングの被害に遭ってしまったりするリスクが常につきまといます。
また、サービスを提供する企業側は構造上、保存されているデータを見ることが可能であり、個人のプライバシーの観点からも問題視されているのです。

これに対して、ストレージは「分散型ストレージサービス」。
ストレージは、世界中のユーザーから余っているストレージ容量を借り受け、それを暗号化した上で違うユーザーに貸し出しています。
そして、貸し出す側のユーザーは「ドライブファーミング(Drive Farming)」と呼ばれる仕組みによって、独自トークンを稼ぐことが可能です。

2021年12月現在、ストレージは1STORJ=250円前後で取り引きされており、時価総額は約910億円、仮想通貨の市場ランキングでは第126位の規模を保持しています。

ドライブファーミングができ、セキュリティも万全

ストレージにおけるデータの保存には、「シャーディング」という技術が使われています。
シャーとは「断片」、シャーディングとはファイルを細かく分けることを指し、ストレージでは実際に、データを暗号化した上で32MBごとに細切れにしています。
また、シャーディングはネットワーク負荷も分散できるため、非常に大きなデータを扱えるというメリットもあります。

ストレージの利用者は、他人が貸し出した領域を使ってデータを保存します。
個人のデータを他人の領域に保存するのは、心理的な抵抗があるかもしれませんが、貸し出された領域に保存されるデータは、1つのファイルとしての復元は絶対にできない仕組みとなっています。
したがって、貸主のユーザーは、例えデータが手元にあっても閲覧は不可能ですので、セキュリティ面は万全です。

また、中央集権的なサービスは、サーバーダウンによって障害が発生し、利用できなくなることがあります。
ストレージでは、保存されたデータは複数のストレージに分散化されており、仮に1つのストレージシステムがダウンしてしまっても他のシステムが補完するため、失われることはありません。
データはブロックチェーン上に保存され、改ざんも不可能です。

そして貸す側のユーザーは、自分が持つ領域を提供して独自トークンを稼ぐ「ドライブファーミング」ができます。
ストレージを売るためには、最低550GB以上の空き領域と「Storj Share」のダウンロード、さらにERC20トークンに対応したウォレット(MyEtherWalletなど)が必要。
ドライブファーミングは、Storj Shareにて分散化されたデータを保存する領域を設定し、自分が貸し出すストレージ容量を決定すれば開始できます。

分散型のストレージは安全面で有利

クラウドストレージサービスの1つ、Dropboxでは「1,200円/月」で「1TBプラン」が利用できます。
それに対して、ストレージの価格プランは「1GB=0.015ドル/月」と設定されており、保存領域を細かく刻んでの利用が可能です。
ドルのレートにもよりますが、1TBであれば、ほぼDropboxと同じ程度の価格帯になります。
ただしストレージは、クラウドからデータをダウンロードする際にも料金がかかる仕組みですので、注意が必要です。

しかし安全性で選ぶなら、分散型サービスのストレージが有利でしょう。
Dropboxなどの中央集権的なサービスは、ハッキングによるデータ流出のリスクがあります。
ストレージはデータが断片化かつ分散されていますので、ハッキングでデータを入手しても、中身を読み取ることはできません。
また、分散化されたデータはネットワークを圧迫しませんので、大容量のデータを扱えます。

一方で、ネットワークスピードという観点で見ると、圧倒的に中央集権的なサービスの方が有利です。
利用するサービスは、ユーザーが持つデータの性質を勘案しながら選択することになるでしょう。

強力なライバルがいるストレージ

ストレージは2021年3月、基準が非常に厳しいことで知られるアメリカの仮想通貨取引所Coinbase Pro(コインベースプロ)に上場。
これによって、ストレージの信頼は大きく向上しました。

一方で、分散型ストレージのプラットフォームとしては、他に「ファイルコイン(Filecoin/FIL)」が有名です。
ファイルコインの2021年12月現在における時価総額は7,800億円、市場ランキングも第30位であり、ストレージとコンセプトが似通った強力なライバルとなります。
今後、ストレージが価値を上げていくためには、画期的な機能の追加など、ライバルとの差別化が必要でしょう。

また、残念ながら日本の取引所での取り扱いはありませんので、国内での入手には、他の仮想通貨をバイナンスなどの海外の取引所に送金する必要があります。

まとめ

以上、ストレージの概要や主な特徴、そして将来性ついて、詳しく解説しました。

分散型ストレージサービスを提供し、空いた領域を貸し出して稼ぐことも可能なストレージ。
シャーディング技術によってセキュリティも万全ですが、同じコンセプトを持った強力なライバルも存在します。
今後の機能や利便性などの差別化による、価値の向上を期待しましょう。

参考サイト

仮想通貨Storj(ストレージ)とは?今後の価格や将来性、買い方

STORJ(ストージ)とは?分散クラウドストレージ取引で使われるコインの仕組み・使い方・購入方法を解説!

仮想通貨storj(ストージ)とは?概要や特徴、価格を徹底解説

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