オーエムジーネットワーク(OMG Network)とは?決済プラットフォームとして普及が進む仮想通貨を解説。

by AIGRAM

現金主義が根強い日本においても、PayPayやLINEPayなどのキャッシュレス決済プラットフォームの普及が進んできました。
経済的に貧しい人々が多くいる東南アジアにおいても、「Omise」という決済サービスが広く使われています。
このOmiseを母体として、発行されている仮想通貨が「オーエムジーネットワーク(OMG Network/OMG)」です。
この記事では、OMGネットワークの成り立ちや採用する技術、そして今後の将来性について、詳しく解説します。

目次

東南アジアのスタートアップ企業が開発したOMGネットワーク

OMGネットワークは、タイを本拠地にするフィンテック企業「SYNQA(シンカ/旧社名Omise)」が開発したプラットフォームです。
このプラットフォーム上において、OMGと呼ばれる仮想通貨が使われています。

SYNQAは、日本人である長谷川潤氏が起こしたスタートアップ企業であり、タイを拠点に活動しています。
運営する決済サービスである「Omise」は、日本では馴染みが薄いですが、PayPayのような決済プラットフォームとして、タイやシンガポール、インドネシアでは非常に高いシェアを持っています。
東南アジアでは、貧しく銀行口座やクレジットカードを持てない「アンバンクト(Unbanked)」と呼ばれる人々が全人口の約70%を占めており、大きな社会問題となっています。
一方で、スマートフォンは広く普及しており、スマホを所持するアンバンクトは多くいます。
OMGネットワークは、決済サービスアプリの提供によって、誰でも公平に使える金融サービスを実現しています。
OMGネットワークは、2017年に「OmiseGo(オミセ・ゴー)」として開発がスタートしました。
開発には、イーサリアム(Ethereum/ETH)を考案したヴィタリック・ブテリン氏が、アドバイザーとして参加しています。
同年、ICOを実施して2,500万ドルの資金調達に成功。
SYNQAはさらに、トヨタファイナンシャルサービスや三井住友銀行などから支援を受けており、追加で8,000万ドルの資金を獲得。
その後、2020年には現在の名称である「OMGネットワーク」にリブランドされ、2020年12月には、香港の仮想通貨投資会社「GBV(Genesis Block Ventures)」によって買収しました。
GBVの本拠地も東南アジアであり、現在は分散型金融である「DeFi」に力を入れていることで知られています。

OMGネットワークは2021年11月現在、1OMG=1980円前後で取り引きされており、時価総額は約2,790億円、仮想通貨市場ランキングは第68位の規模となっています。

イーサリアムの技術を応用したOMGネットワーク

OMGネットワークには「ERC-20」というトークン規格が使われており、イーサリアム(Ethereum/ETH)のセカンドレイヤー技術が応用されています。

イーサリアムは利用者の増加によって、取り引きの承認遅延、送金手数料の高騰などの「スケーラビリティ問題」を抱えています。
これを避けるため、OMGネットワークは「More Viable Plasma(MoreVP)」呼ばれる、独自のブロックチェーン技術を構築しました。
MoreVPは、複数のトランザクションをグループ化し、まとめて処理する技術です。
イーサリアムは、1秒間に10〜15件しかトランザクションを処理できませんが、この技術によって、OMGネットワークでは1秒間に4,000件以上の処理が可能となりました。
これによって、承認コストも3分の1に圧縮されています。

またOMGネットワークには、MoreVPのほか「Minimal Viable Plasma (MVP)」というプラズマチェーンも使用されています。
判断基準が異なる2つのプラズマチェーンの使用によって、イーサリアムと同等の安全性が確保されているのです。

また、コンセンサスアルゴリズムは、イーサリアムが採用している「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」の簡略版である「プルーフ・オブ・オーソリティ(PoA)」を採用しています。
将来的にはPoSへの移行を予定しており、ステーキングが可能となることで、トランザクション検証で報酬を得られるようになるとされています。

なお、2017年のトークンセールによって、発行枚数は上限の1億4,000万OMGに達しており、これ以上の採掘はできず、マイニングは不可能です。

OMGネットワークの値動きと将来性

OMGは2017年にICOを実施した際、1OMG=48円前後で取り引きされました。
その後、仮想通貨バブルとともに急激に上昇を見せ、2018年1月には一時2,800円を超える値がつきました。
しかし、バブル崩壊とともに下落が始まり、2020年3月には50円を切るところまで落ち込みます。
同年の下半期、テザーがOMGネットワーク上で稼働をスタートさせた直後から再び反転し、2021年4月の「コインチェック」への上場によって、30%値上がりしました。
さらに、同年10月からは急騰に向かいます。
これは、OMGを保有する人に新しい仮想通貨である「ボバ(BOBA)」トークンをエアドロップするとの告知を受けた動きであり、10月初旬には1,800円を達成、11月には2,200円を超えました。
11月中には、保有するOMGと1:1の割合で、ボバトークンが配布される予定です。

日本においても、2020年7月に国内取引所の「GMOコイン」が取り引きスタート。
前述の通り、2021年4月には「コインチェック」、同年5月には「DMMビットコイン」、そして7月には「ビットバンク」もそれぞれ取り扱いを開始し、活発に取り引きされています。

オンライン決済システムとしても、2017年のタイのマクドナルドへの導入を皮切りに、2019年にはバーガーキングでも決済が始まっており、実用面でも実績を積んでいます。

世界的には、2020年6月、世界有数の仮想通貨取引所「Bitfinex」との提携を発表。
これによって、前述の通りステーブルコインのテザー(Tether/USDT)がOMGネットワーク上で送金可能になりました。
OMGネットワーク上でテザーが稼働すれば、さらなる手数料の軽減やトランザクションの高速化につながると期待されています。
そしてOMGは、世界の主要仮想通貨をリストアップした「CoinDesk 20」においても、2021年1月の最新リストにて、テゾス(Tezos/XTZ)イオス(EOS/EOS)カルダノ(Cardano/ADA)、イーサリアムクラシック(Ethereum Classic/ETC)より上位となる、10位につけています。

まとめ

以上、OMGネットワークの成り立ちや採用する技術、そして今後の将来性について、詳しく解説しました。
日本人起業家によるスタートアップ企業が開発したOMGネットワークは、比較的新しい仮想通貨ですが、東南アジアのみならず、今後は世界的にも広く使われることが期待できます。
親会社のSYNQAは、分散型金融のDeFiだけではなく、ブロックチェーン技術を応用した暗号資産である「NFT」分野にも進出していますので、今後も注視すべき銘柄でしょう。

参考文献

暗号資産(仮想通貨)OMGとは?分散型金融への対応や特徴、将来性を解説

オーエムジー(OMG)とは?特徴や購入方法、今後の将来性を解説!

東南アジアで創業し、決済インフラを改革。フィンテックで世界を変えた日本人起業家

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