コモド(Komodo)とは?匿名性と効率性を両立した仮想通貨を解説。
匿名性の高いコインは、保有者のプライバシーを守れるため、数年前までは非常に注目を集めていました。
しかし近年では、その高い秘匿性から、違法薬物の販売やマネーロンダリングなどに悪用されてしまうと、欧米を中心に問題視されています。
今回紹介する「コモド(Komodo/KMD)」もまた、暗号学の「ゼロ知識証明」を応用した、匿名性の高いコインです。
この記事では、コモドの特徴や匿名性を実現する技術、そして他のコインとの優位性について、詳しく解説します。
目次
高い匿名性が特徴のコモド
コモドは、2016年6月に匿名性の高い仮想通貨である「ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)」からフォークしたコインです。
匿名性とは、送受金アドレスや金額など、取引に関わる情報を当事者以外の第三者からは判断できないようにする技術。
コモドも、ジーキャッシュが採用する「ゼロ知識証明」という暗号学の技術を受け継いだため、高い匿名性を確保しており、仮想通貨を保有する人のプライバシーを保護しています。
またコモドは、世界で初めて、取引所を介さずに仮想通貨の取引相手と直接マッチングできる「アトミックスワップ」の実装に取り組みました。
この技術を応用して、ブロックチェーン上ではDEX(分散型取引所)を実現しています。
コンセンサスアルゴリズムには「ディレイド・プルーフ・オブ・ワーク(dPoW)」という、独自の承認方式を採用。
ビットコインの技術を利用して、高いセキュリティを確保しています。
さらに、法定通貨とのゲートウェイとしても機能しており、KMDトークンと交換可能である、テザー(Tether/USDT)のような法定通貨とのペッグ通貨を発行可能です。
仮想通貨のプレセールで資金調達を行う「ICO」のプラットフォームとしても、活用されます。
なお、コモドの発行上限は2億枚です。
2021年12月現在、コモドは1KMD=102円前後で取り引きされており、時価総額は約130億円、仮想通貨の市場ランキングでは第414位の規模を保持しています。
匿名性と効率化を実現するzk-SNARK
コモドは、ジーキャッシュで使われている「zk-SNARK」と呼ばれる技術を応用しており、高い匿名性とセキュリティを確保しています。
コモドのzk-SNARKは、ジーキャッシュと同様にゼロ知識証明で支えられます。
ゼロ知識証明とは、暗号学において、特定の事項を証明したい場合に「それが正しい」という内容以外の情報を一切伝えなくても、正当性を証明できる手法です。
匿名性を担保しながら証明作業ができるため、次世代のプライバシー強化技術として注目されています。
またzk-SNARKは、マイニングに必要な情報のサイズが小さくて済むため、承認作業が効率化できるという利点もあります。
Zk-SNARKは、スケーラビリティ問題が顕著になっているイーサリアム(Ethereum/ETH)でも導入が検討されており、実現すればトランザクション速度は実に3200%という大幅な向上が見込まれていることから、その有効性が分かります。
独自のコンセンサスアルゴリズム「dPoW」
コモドのコンセンサスアルゴリズムには、独自の「ディレイド・プルーフ・オブ・ワーク(dPoW)」という承認システムが採用されています。
ディレイドとは「遅延」という意味であり、遅延作業証明という技術が用いられます。
ビットコインが採用する「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」は近年、マイニング競争による電力消費量の増大が問題視されていますが、セキュリティが高く、ハッキングなどのリスクを未然に防ぐというメリットがあります。
そこでコモドは、セキュリティの高いビットコインのブロックチェーンに取引データを追加する「公証ノード」を用いて、PoWの利点を上手く利用しているのです。
つまりコモドは、ビットコインのブロックチェーンを利用して、自身のブロックチェーンを認証していることになります。
そのため、セキュリティが高いビットコインのブロックチェーンの書き換えない限り、コモドは改ざんできません。
またdPoWは、マイナーが多数集まらないとセキュリティが低下してしまうPoWの欠点を克服し、合わせて消費電力量も抑えられるというメリットもあります。
なおdPoWは、PoWに加えて「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」でも機能します。
世界で初めてアトミックスワップの実装に取り組む
コモドは、世界で初めてアトミックスワップの実装に取り組んだコインです。
アトミックスワップとは、ブロックチェーンが異なる仮想通貨同士を、取引所など第三者を介すことなく、個人間で直接やり取りできる技術です。
これを利用して、コモドではBarterDEXという分散型取引所(DEX)を実現しています。
通常の取引所は、ハッキングや倒産によって、預けた仮想通貨を失ってしまうというリスクが常につきまといます。
しかしDEXでは、自分で暗号鍵を管理して中央管理者を介さず取引するため、セキュリティが高い上に、手数料も安くなるというメリットがあるのです。
コモドのBarterDEXプラットフォームを利用すれば、安い手数料で仮想通貨を購入できます。
またBarterDEXは、分散型アプリケーション「dApps」を公開するプラットフォームとしても利用されています。
これまでにも、猫を育てる「クリプトキティーズ」や、豚を育ててレースに出場させる「くりぷ豚」といったdAppsのゲームが公開されました。
なお、ゲーム内で使われるペットや資金は、全てブロックチェーン上で管理されます。
dICOはセキュリティ強固な資金調達手法
近年、企業による新しい資金調達の手法として、ICO(仮想通貨のプレセール)が盛んに行われています。
仮想通貨を用いた従来のICOでは、人為ミスをはじめ、参加者のプライバシーが確保されないことや、調達した資金を持ち逃げされる事例の発生、そして中央集権による価格操作など、さまざまな問題が起きました。
そこでコモドは、「dICO」というICOプラットフォームを提供。
dICOは、人の手による管理をやめてICOを完全にアプリケーションに任せてしまう仕組みであるため、セキュリティが強固な上に、人為ミスやサーバーダウンなどのリスクも大幅に減っています。
つまり、コモドのプラットフォームを利用すれば、ICOで発行されたトークンに安心して投資できるのです。
このように、コモドのICOには大きな利点がありますが、すでにイーサリアムなどがICOプラットフォームを展開しています。
この強力なライバルからどう使用者を誘導するのかが課題であり、宣伝やアップデートなど、さらなる差別化が必要でしょう。
匿名性の高い仮想通貨の課題
コモドは、匿名性の高さに利点がある仮想通貨です。
匿名性の高い仮想通貨は、保有する人のプライバシーを保護できますが、近年では、トランザクションが公開されないことを悪用した、違法薬物の取引やマネーロンダリングの温床になりかねないと、欧米を中心に危惧されています。
状況は日本でも同様であり、匿名性の高いモネロ(Monero/XMR)やダッシュ(Dash/DASH)、そしてジーキャッシュについては、かつてはコインチェック社が取り扱っていましたが、上場は廃止され、国内での入手は不可能となりました。
コモドの入手には、バイナンスなどの海外の取引所に、別の仮想通貨を送る必要があります。
まとめ
以上、コモドの特徴や匿名性を実現する技術、そして他のコインとの優位性について、詳しく解説しました。
ゼロ知識証明を応用した、匿名性の高いコインであるコモド。
アトミックスワップの実装や強固なセキュリティを持つICOのプラットフォームなど、非常に独自性のあるコインですが、匿名性の高さによる課題もあります。
コモドが今後、さらなる発展を遂げるためには、この問題をどうクリアするかにかかってくるでしょう。
参考文献
仮想通貨Komodo(コモド・KMD)とは?特徴・買い方・取引所・将来性・チャート・マイニング・ニュースを解説
Komodo(コモド)とは?特徴や将来性、購入できる取引所は?
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