アイコン(ICON)とは?韓国版イーサリアムと呼ばれ、独自のスマートコントラクトを持つ仮想通貨を解説。
お隣の国、韓国においては、保険会社や病院、そして学校や証券会社などにおいて、ブロックチェーン技術の活用が広く浸透しています。
それらの機能は、アイコン(ICON/ICX)という国産プラットフォームが実現しているのです。
この記事では、アイコンの概要や主な特徴、そして保持する機能について、詳しく解説します。
目次
アイコンは韓国版イーサリアム
アイコンは、2017年8月に公開された韓国発の仮想通貨です。
設立者は、韓国最大のフィンテック企業「デイリーフィナンシャルグループ」元最高戦略責任者であり、現在はアメリカのデジタルコンテンツ配信プラットフォーム「タパスメディア」の最高執行責任者であるミン・キム氏。
彼はまた、アイコンの開発を支える韓国のソフトウェア会社「ICONLOOP」も育成しています。
アイコンは同社によって運営されているため、完全なオープンソースではありませんが、ネットワークには誰でもアクセスが可能です。
2017年のICO(仮想通貨のプレセール)では、公開日にコイン完売を記録するほどの人気であり、同年12月には、バイナンスにも上場を果たしました。
アイコンとはプラットフォームの名前であり、そのブロックチェーン上では「ICX」という単位の仮想通貨が流通しています。
最大の特徴は、独自のスマートコントラクトである「SCORE(Smart Contract On Reliable Environment)」によって仲介者を最小限にし、国境を超えたスムーズな取引を実現している点です。
このことから、韓国版イーサリアム(Ethereum/ETH)とも呼ばれています。
アイコンは特に、決済機能やデジタル証明書の発行、分散型ファイナンス、NFTのほか、行政機関の機能やヘルス分野などに注力。
また、イーサリアム系のERC20トークンでもあり、その発行上限は4億枚です。
2021年12月現在、アイコンは1ICX=140円前後で取り引きされており、時価総額は約970億円、仮想通貨の市場ランキングでは第101位の規模を保持しています。
優れたスマートコントラクト技術「SCORE」
アイコンのコンセンサスアルゴリズムには「LFT(ループ・フォールト・トレランス)」という、独自の承認方式が採用されています。
LFTでは、トランザクションをまとめてブロック生成する「リーダーノード」と、生成されたブロックを検証する「検証ノード」という2つのノードが存在します。
新しいブロックの生成にも検証ノードの承認が必要であり、トランザクションの正当性は、限定されたグループによって証明されています。
一方でアイコンには、新規発行のためのマイニングは存在せず、発行枚数は「C-rap」というコミュニティにおいて代表者が毎年協議した上で決定されます。
その代表者も固定されない仕組みであり、これによって中央集権的な運営を回避しています。
またアイコンは、the loop社が開発したループチェーン(loopchain)というブロックチェーン技術を採用。
そして、その機能を拡張したスマートコントラクト技術「SCORE」が使われています。
スマートコントラクト(スマートコントラクト/Smart Contract)とは、あらかじめ決定された契約を無人かつ自動で実行する機能です。
SCOREは、ブロックチェーンのプロセスとは関係なくスマートコントラクトを実行できるため、スマートコントラクトに不具合が生じても、ブロックチェーンの機能は正常に動作するという利点を持ちます。
SCOREはまた、システムの更新時においても移行作業は不要なため、スマートコントラクトのデータ更新が簡単になるというメリットもあります。
アイコンはさらに、スケーラビリティ性にも優れています。
仮想通貨の市場ランキングで第1位を誇るビットコイン(Bitcoin/BTC)は、1秒あたりのトランザクション処理量がわずか7件ほどに過ぎません。
一方のアイコンでは、9,000トランザクション/秒という非常に高速な取引を実現しており、決済手段としての利用にも期待できます。
目に見える採用実績を持つアイコン
アイコンは、独自のブロックチェーン「ICON Nexus」を公開しています。
この技術によって、さまざまなコミュニティや異なるアルゴリズムのブロックチェーンをつなぐことが可能となるのです。
アイコンはすでに、病院や保険会社、銀行、学校、そして韓国内の25社を超える証券会社と提携しており、それぞれとネットワークがつながっています。
例えば、証券会社ではユーザーIDの管理に、保険会社では保険料を自動請求する過程においてアイコンが活用されています。
また、大学ではアイコンのデジタル証明書を用いて、卒業証書や資格証明書の発行や検証が行われています。
さらに、韓国最大のオンライン求人検索プラットフォームにおける応募者データの管理や、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐための追跡機能としても利用されているのです。
このように、具体的で目に見える採用実績があるのがアイコンの強み。
アイコンは最終的に、世界中のコミュニティつなぐハブのような役割を果たすことを目標としています。
独自の機能やDEXも実装
アイコンには、アイコニック(ICONick)という、ウォレットのIDを自分で作成できる機能もあります。
仮想通貨の送金には、長くて複雑なアドレスが必要で利便性に欠ける上、アドレスを間違えて送金し、それが完了してしまうと絶対に取り戻せません。
しかし、アイコニックを使えば馴染みのあるような単語に設定できるため、仮想通貨の取り引きが簡単にできるようになります。
アイコンユーザー1人につき1つのIDが利用可能であり、そのIDは個人間での売買も活発に行われています。
さらにアイコンでは、DEX(分散型取引所)も導入しています。
DEXとは、中央の管理者が不在で、アルゴリズムのみで運営されている仮想通貨の取引所です。
個人同士によって直接、仮想通貨の取引が可能となりますので、第三者による仲介は不要となり、手数料が安く抑えられ、取引所による仮想通貨の流出や、経営破綻などのリスクを回避できるというメリットがあります。
またアイコンでは、異なるブロックチェーンにある仮想通貨の交換も可能です。
そんなアイコンですが、残念ながら日本の取引所では取り扱っていません。
入手するためには、バイナンスなど海外の取引所に、異なる仮想通貨を入金する必要があります。
まとめ
以上、アイコンの概要や主な特徴、そして保持する機能について、詳しく解説しました。
韓国版イーサリアムと呼ばれるアイコンは、有用であるさまざまな機能を持っており、韓国国内で非常に多くの活用事例があるプラットフォームです。
アイコンは全てのネットワークをつなぐことを目標として掲げており、今後も韓国だけにとどまらず、さらなる活用が見込まれるでしょう。
参考文献
仮想通貨のアイコン/ICON(ICX)コインとは?特徴・購入方法・将来性について
仮想通貨のICON(アイコン)とは?将来性や特徴を調査してみた!
仮想通貨アイコン(ICON/ICX)の将来性は?特徴や買い方も解説