ディセントラランド(Decentraland)とは?メタバースのプラットフォームとして有望視される仮想通貨を解説。
メタバースが話題となる中、VRプラットフォームとして熱い視線が注がれているディセントラランド(Decentraland/MANA)。35秒で26億円を調達した、ディセントラランドの概要や主な特徴、今後の見通しや将来性について詳しく解説します。
目次
はじめに
2021年10月、SNSを運営するFacebook社が「Meta(メタ)」と社名を変更したことによって、世界的にメタバース(仮想空間)に注目が集まりました。
実は、仮想通貨の世界にも「ディセントラランド(Decentraland/MANA)」という、メタバースのプラットフォームが存在することをご存じでしょうか。
この記事では、ディセントラランドの概要や主な特徴、そして将来性について詳しく解説します。
ディセントラランドはVRのプラットフォーム
ディセントラランドは、イーサリアム(Ethereum/ETH)のブロックチェーンを用いて構築された、VR(バーチャルリアリティ)のプラットフォームです。
カルフォルニアに拠点を持つ非営利団体「ディセントラランド財団」によって、運営されています。
2つのトークンで形成される仮想世界
ディセントラランドは、2015年に2Dのプラットフォームとして誕生しました。
さまざまな経緯をたどり、現在ではブロックチェーンを利用したVRプラットフォームとして進化しています。
ディセントラランドのユーザーは、仮想世界の中で「土地」を購入でき、その中でアプリケーションやコンテンツを作成したり、体験や収益化をしたりできるようになります。
「ディセントラランド」はプラットフォームの名称であり、ブロックチェーン上においてはイーサリアム規格であるERC-20のトークン「マナ(MANA)」が流通しています。
マナトークンは、ディセントラランドのマーケットプレイスにおいて、アバターや衣服、ネームなどを購入する際の支払手段として利用されます。
また、ディセントラランドの土地は同ERC-721トークンで「ランド(LAND)」と呼ばれ、入手にはマナのバーンが必要です。
35秒で26億円を調達
ディセントラランドは2017年、ICO(イニシャル・コイン・オファリング/仮想通貨のプレセール)を実施し、わずか35秒で2,400万ドル(約26億円)を集めるなど、非常に話題となりました。
2020年2月にはバーチャルワールドが一般公開され、ユーザーは自分の土地でインタラクティブなゲームや広大な3Dシーンを作ることができるようになります。
その後、あっという間に世界規模のエコシステム(経済圏)に成長したのです。
2022年1月現在、ディセントラランドは1MANA=280円前後で取り引きされており、時価総額は約5,200億円、仮想通貨の市場ランキングでは第32位の規模を保持しています。
ユーザー主体で運営されるディセントラランド
「メタバース」とは、インターネット上に構築された仮想空間のプラットフォームのことです。
ディセントラランドの仮想空間は、DAO(自律分散型組織)によって運営されています。
仮想空間はDAOが運営
メタバースとして有名なゲームは、Minecraft(マインクラフト)や、Fortnight(フォートナイト)などが挙げられ、それぞれゲーム会社によって中央集権的に運営されています。
ディセントラランドがそれらと決定的に違うところは、DAOによって、ユーザー主体で運営されているという点です。
ディセントラランドにおける全ての取引は、契約を自動実行するイーサリアムの機能「スマートコントラクト」に記録されるため、中央管理者は不要なのです。
ユーザーが運営に参加するには、マナをラップ(他の仮想通貨にペッグされた状態)した「wMANA」の保有が必要で、DAOにロックすれば保有量の割合で議決権が付与されます。
NFTで表現される「ランド」
ディセントラランドのゲームワールド(メタバース)は、90,601個の区画(ランド)に分かれており、NFT(非代替性トークン/Non-Fungible Token)で表現されます。
ランドは、公式サイトのマーケットプレイスで場所や保有者、値段などを確認でき、購入すればディセントラランド上の土地を保有できるようになります。
ランドは売買可能なため不動産投資としての保有もでき、公式サイトにある詳細ページより「JUNP IN」ボタンを押せば、実際に見に行けるようになっています。
ランドは地区に大別される
ディセントラランドの仮想空間を探索するだけなら、無料アカウントまたはゲストアカウントで参加可能であり、世界中のユーザーがつくったランドを見たり、参加者と交流したりできます。
ランドは、所有者の手によって自分好みに発展させることができます。
メタバースはさらに、クラウドセールで生成されたいくつかの地区に大別されますが、この地区は、それぞれ異なるテーマで構成されてサイズもバラバラであり、売買はできません。
現在は「Aetheria」という地区が最大で、8,008ランドで構成されています。
なお、ディセントラランドでは、クリエイター向けの開発ツールとして、シンプルな機能を持つ「Builder」と、コードを駆使してプロフェッショナルな作品が作れる「The Decentraland SDK」を提供しています。
さまざまなマネタイズ手法
前述の通り、ディセントラランドはクリエイティブな場として提供されていますが、ランドを所有するユーザーは、ランドを貸したり広告を配信したり、あるいは有料の体験を提供するなどしてマネタイズしています。
また、ディセントラランド上で保有するアイテムは公式サイトの「My Assets」ページから確認可能で、販売価格を設定して売りに出すこともでき、こちらもマナトークンを稼ぐ手段として活用されています。
投機的な価値があるランドと、その将来性
ここからは、ディセントラランドの将来性を見ていきましょう。
メタバース関連銘柄として高騰
公開時に注目されてはいたものの、ディセントラランドは2020年2月時点で1MANA=8円前後の価値に過ぎませんでした。
ところが、NFT関連銘柄の高騰と、米ゲームメーカーのアタリ社がディセントラランド上でカジノを建設したことによって、翌年8月までに100円まで値が上がります。
さらに、Facebook社が社名変更されてメタバース関連銘柄に注目が集まり、同年11月には600円まで価値を高めました。
また、2019年時点は1ランド=5万円程度だったランドも、2021年の後半には60〜100万円と爆発的に高騰しており、NFTコンテンツとしても投機的な価値が出てきているのです。
国家やオークションで活用
2021年11月には、カリブ海にある島国「バルバドス」がディセントラランドと契約し、プラットフォーム上にバーチャル大使館を設立する計画を発表しました。
同月、メタバース上のグローバル文化都市である「メタトーキョー(MetaTokyo)」が、ディセントラランドにミュージアムを建設しています。
そのほか、世界最大のオークション企業の一つ「サザビーズ」との提携で、ディセントラランド上で競売がスタートするなど、さまざまなかたちでプラットフォームが活用されており、その将来性は期待できるでしょう。
このように非常に将来性が見込まれるディセントラランドですが、残念ながら国内の取引所による取り扱いはありません。
入手には、海外の取引所に別の仮想通貨を送金する必要があります。
まとめ
ディセントラランドは、ランドの購入で仮想世界の「土地」を所有できるVRプラットフォームです。
一般公開されたバーチャルワールドでは、世界中のユーザーが購入したランドを自分好みに発展させています。
ユーザーはランドを貸したり有料の体験を提供したりしてマネタイズするほか、プラットフォーム上のマーケットプレイスでアイテムを売り、マナトークンを稼ぐことも可能です。
近年では、国家や企業による活用も目立つようになっており、今後も大きな国や著名な企業が参入を発表すれば、ディセントラランドはさらに発展していくでしょう。
参考文献
Decentraland(ディセントラランド)/Mana(マナ)とは?特徴と今後の予想・将来性を解説
Decentraland(ディセントラランド)とは|メタバースと仮想通貨MANAの将来性