コスモス(Cosmos)とは?他のブロックチェーンをつなぎ、誰でも参加できる仮想通貨を解説。
2021年に国内の取引所に上場を果たしたコスモス(Cosmos/ATOM)は、クロスチェーン機能によってブロックチェーンの可能性を広げるプラットフォームです。大手企業も技術を採用する、コスモスの概要や主な特徴、今後の見通しや将来性について詳しく解説します。
目次
はじめに
2021年7月、国内の仮想通貨取引所に上場して注目を集めた、新規銘柄の仮想通貨があります。2017年にICOで巨額の資金調達に成功して、世界的にも話題となったコインである「コスモス(Cosmos/ATOM)」です。
この記事では、コスモスの概要や主な特徴、そして将来性について詳しく解説します。
誰もがブロックチェーンに参加できるコスモス
コスモスは、2014年にジェ・クォン氏が設立したテンダーミント社によって開発されている仮想通貨です。
「コスモス」とはプラットフォームの名前であり、ブロックチェーン上では「ATOM」と呼ばれる仮想通貨が流通しています。
3つのビジョン
コスモスのホワイトペーパーは2016年に公開されており、翌年にはICO(イニシャル・コイン・オファリング/仮想通貨のプレセール)を実施。
なんと30分で売り切り、約1,700万ドル(約18億円)の資金調達に成功しました。
コスモスは「インターネット・オブ・ブロックチェーン」のビジョンの下、誰もがブロックチェーンに参加できる未来の実現を、3つの要素によって目指しています。
- 互換性の無いブロックチェーン同士を結ぶ機能「クロスチェーン」
- スケーラビリティ問題の解決
- 誰でもブロックチェーンを利用できること
具体性のあるコスモスの取り組み
まず、コスモスにはクロスチェーン機能を備えており、仮想通貨取引所を通さなくても異なるコインの取り引きを実現します。
また、クロスチェーン機能はビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)ではたいへん問題視されている処理の遅延や取引手数料の高騰を和らげることが可能です。
さらに、コスモスでは公式にアプリ開発キットを公開しており、誰でも簡単にブロックチェーンを構築できる環境を提供しています。
2022年1月現在、コスモスは1ATOM=4,400円前後で取り引きされており、時価総額は約1兆2,000億円、仮想通貨の市場ランキングでは第16位の規模を保持しています。
最大の特徴はクロスチェーン機能
ここからは、コスモスの主な特徴を見ていきましょう。
クロスチェーン機能
コスモスの最大の特徴は、他のブロックチェーン同士をつなぐ「クロスチェーン」機能です。
それぞれのブロックチェーンを「Zone(ゾーン)」という場所に配置し、「HUB(ハブ)」という中継地点でつないでいくことで、仮想通貨取引所を通さなくても異なるコインの取り引きが可能となります。
時価総額1位のビットコインや時価総額2位のイーサリアムは、それぞれ独立したブロックチェーンであり現状ではデータのやり取りができませんが、コスモスを利用すればお互いの接続が可能となり、非常に利便性が向上します。
またクロスチェーンは、ビットコインやイーサリアムで問題になっている、スケーラビリティを改善できる可能性もあると期待されているのです。
プルーフ・オブ・ステーク
コスモスのコンセンサスアルゴリズムには、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」が採用されています。
ビットコインの「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」は高いセキュリティを実現しますが、マイニング競争による環境負荷が問題視されています。
一方のPoSは、仮想通貨の保有量が多い人が優先的に承認に参加できる仕組みであり、PoWと比べてエネルギー消費量が少なく、イーサリアムも移行が検討されているシステムです。
ステーキングも可能
PoSを採用するコスモスには、「ステーキング」ができるという特徴もあります。
ステーキングとは、その仮想通貨を保有してネットワークの意思決定に参加すると、報酬を得られる仕組みです。
売却で得られる「キャピタルゲイン」に加えて、保有によって「インカムゲイン」も得られるため、投資家がとても注視しています。
参入障壁を解消
ブロックチェーンでは、難解なプログラミング言語を使いこなす必要があり、これが参入障壁となっています。
コスモスは開発キット「Cosmos SDK」の提供によって、Javaのような簡単なプログラミング言語を使って、誰でも独自のブロックチェーンを構築できるような環境を用意しているのです。
有名なところでは、後述するBinaceDEXがCosmos SDKで構築されています。
大手企業も採用するコスモスの技術と、その将来性
コスモスは2019年、海外の大手仮想通貨取引所であるバイナンスに上場しました。
そこでは1日で30%も価格が上昇し、その人気ぶりを見せつけています。
世界的企業で応用されるコスモスの技術
バイナンス(Binance/BNB)では2019年、「BinaceDEX」という、管理者不在でユーザー同士が直に仮想通貨を取引できる分散型取引所(DEX)をスタートしました。
BinaceDEXは独自のブロックチェーンを持っていますが、その開発にコスモスの技術が応用されているのです。
また、トヨタ自動車では2020年に、コスモスの技術を使った独自ブロックチェーンで、中古車の所有権移転のデータ連携について実証実験したことを発表しています。
課題は差別化
このように、コスモスの技術は著名な大企業に注目されていますが、同様にクロスチェーン技術を持つポルカドット(Polkadot/DOT)には、後発でありながら時価総額で抜かれてしまっている状況です。
今後の発展には、コスモスだけの独自機能などの差別化が必要でしょう。
なお、コスモスは2021年7月、国内の仮想通貨取引所「GMOコイン」よって取り扱いが開始されており、日本でも入手が可能です。
まとめ
2017年に公開された仮想通貨のコスモスは、誰でもブロックチェーンに参加できる未来の実現を目指しているプラットフォームです。
アプリ開発キットを公開することで、簡単にブロックチェーンの構築ができる環境を提供しています。
最大の特徴は、互換性の無い他のブロックチェーン同士を結ぶ「クロスチェーン」という機能で、ブロックチェーンの利便性を高める上に、スケーラビリティ問題の解決方法として期待されています。
競合ひしめく仮想通貨の世界において、現在でも時価総額ランキングでトップ20をキープしているコスモスは、これからも非常に期待できるプラットフォームだと言えるでしょう。
参考文献
コスモス(ATOM)とはどのような仮想通貨?特徴や将来性を紹介
仮想通貨COSMOS(ATOM)とは?特徴と今後の見通し・将来性について解説