アバランチ(Avalanche)とは?驚異のスケーリング性能を持ち将来性も抜群の仮想通貨を解説。

by AIGRAM

公開後わずか1年半で、時価総額の上位に躍り出た仮想通貨「アバランチ(Avalanche/AVAX)」。新しいイーサリアムキラーとして注目され、独自の承認システムを持つアバランチの概要や主な特徴、そして将来性について詳しく解説します。

目次

はじめに

仮想通貨の世界において、スマートコントラクト(契約の自動実行)を持つブロックチェーンは、これまでイーサリアム(Ethereum/ETH)の一強でした。
しかし、2021年に入ってからその流れが変わりつつあり、新たなプラットフォームの台頭が見られるようになります。
それらは「イーサリアムキラー」と呼ばれており、今回紹介する「アバランチ(Avalanche/AVAX)」もその1つです。
この記事では、アバランチの概要や主な特徴、そして将来性について詳しく解説します。

公開1年半で時価総額の上位につけたアバランチ

アバランチは、2020年9月にメインネットが公開されたばかりの新しいプラットフォームです。
アメリカのコーネル大学教授、エミン・ガン・サイラー氏が中心となってつくられたプロジェクトであり、現在は同氏がCEOを務める「Ava Labs社」によって開発が進められています。
同氏は、アメリカのベル研究所や日本のNECに在籍していた経歴も持っています。

新しいイーサリアムキラーとして注目

アバランチは、総合的なプラットフォーム提供を世界規模で行うことを目標としていました。
それが2021年に投資家などによって注目され、急激に価値が上昇したのです。
これまでも、いくつかのプラットフォームが「イーサリアムキラー」として誕生してきましたが、2021年に入ってから、同じく急成長した「ソラナ(Solana/SOL)」とともに、その牙城を脅かす存在として注目されています。

さまざまな分野で応用できるアバランチ

プラットフォームはオープンソースであり、dApps(分散型アプリケーション)構築用ネットワークとして、誰でもDeFi(ディーファイ/Decentralized Finance)のアプリケーションや、金融取引サービスを立ち上げることができます。
アバランチはスマートコントラクト(スマートコントラクト/Smart Contract)を備えているため、快適な取引ができる上に、独自のネットワークやブロックチェーンの構築も可能です。

なお、アバランチとはブロックチェーンの総称であり、ネットワーク上では独自通貨としてAVAXが流通しています。

2022年1月現在、アバランチは1AVAX=9,800円前後で取り引きされており、時価総額は約2兆4,000億円、仮想通貨の市場ランキングでは第11位の規模を保持しています。

従来のコインを遥かに凌ぐスケーリング性能

アバランチは、ビットコインやイーサリアムを遥かに凌ぐ「スケーリング性能」を持っています。

4,500件/秒の処理能力を保持

例として、ビットコイン(Bitcoin/BTC)のトランザクション処理は、1秒あたり7件にとどまります。
イーサリアムは同14件、パラチェーン(並列)で高速だといわれるポルカドット(Polkadot/DOT)でも1,500件、そしてクレジットカード大手のVISAも1,700件ほどの性能に過ぎません。
ところがアバランチでは、1秒間で4,500件というビットコインとは比較にならないほどのトランザクション処理能力を持っているのです。

アルゴリズムそのものが高速・分散を実現

高速なネットワークでは承認ノードになるために高いハード能力が求められたり、そもそもノードの数自体を制限したりして、分散化を諦めることでスケーラビリティを実現しています。
しかしアバランチは、コンセンサスアルゴリズムそのものがスケーラビリティと分散化の両立を実現しており、低コストでスピーディなトランザクションを可能としています。

第3の承認システム「アバランチ・コンセンサス」

アバランチのコンセンサスアルゴリズムには、独自の「アバランチ・コンセンサス」という、これまでにない画期的な承認システムが採用されています。

全く新しいコンセンサスアルゴリズム

今までのコンピュータの歴史において、コンセンサスアルゴリズムを大別すると、全てのコンセンサスのベースとなる「クラシカル・コンセンサス」と、ビットコインに採用された「ナカモト・コンセンサス」の2種類しか存在しませんでした。
ところが、2018年に匿名の研究チーム「Team Rocket(ポケモンのロケット団が由来)」が、このどちらでもない、第3のコンセンサスアルゴリズム「アバランチ・コンセンサス」を発表したのです。
アバランチ・コンセンサスは、「クラシカル~」の速く効率がいい部分と、「ナカモト~」の分散性とセキュリティの高さという2つのいいとこ取りを実現した、ハイブリッドのアルゴリズムになります。

高速処理を実現したアバランチ・コンセンサス

従来のコンセンサスでは、全てのノードが同じデータを保有しており、それが安全性と透明性を担保していました。
これによって、ノードの数が増えるほど安全性は高まりますが、通信回数が増えることで処理速度が低下していくという欠点があるのです。

そこでアバランチ・コンセンサスでは、全てのノードが全てのトランザクションに関わるのではなく、確率論的に覆ることがない割合のノードのみが承認するというかたちを採っています。
つまり、ノードがトランザクションを分担して承認していくという「並列処理」を実現しており、これが処理性能を高めているのです。
承認結果が覆る確率も「2万年に1回起きる」程度であり、ほぼ永久にないといってもいいでしょう。
この承認システムが、アバランチのスケーラビリティと分散性を高度なレベルで両立させています。

アバランチの相互運用性と将来性

ここからは、アバランチの将来性を見ていきましょう。

相互運用性を持つアバランチ

アバランチは、他のブロックチェーンとの相互運用性も実現しています。
特にイーサリアムと非常に高い互換性を持ち、イーサリアムのブロックチェーン上でスマートコントラクトを構築するのに使われているプログラム言語「Solidity」に対応しているおり、イーサリアムのdAppsをそのままの状態で持ち込めます。
また、イーサリアムで広く使われているウォレット「MetaMask」も、アバランチで使用可能です。
2021年7月には、両チェーンをつなぐ「アバランチブリッジ」と呼ばれるクロスチェーン技術が運用開始となり、イーサリアム規格「ERC-20」でつくられた仮想通貨をお互いに持ち込めるようになりました。

アバランチの今後

このように、今後もアバランチは、イーサリアム以外のブロックチェーンについてもブリッジ構築を目指しています。
相互運用性は、ブロックチェーンが一般層に使われるようになるための重要な機能であるため、さまざまなプラットフォームとの連携が実現すれば、アバランチの将来性は非常に期待できるものと思われます。

これだけ注目を集め、非常に将来性が期待できるアバランチですが、残念ながら国内の取引所による取り扱いはありません。
入手には、海外の取引所に別の仮想通貨を送金する必要があります。

まとめ

アバランチは、わずか1年半で仮想通貨市場の上位につけた、たいへん将来性のある仮想通貨です。
従来のコインを遥かに凌ぐスケーリング性能を持っており、それは独自の承認システム「アバランチ・コンセンサス」によって実現しています。
イーサリアムとの相互運用性も実現しており、今後もさまざまなプラットフォームとの連携が叶えば、その価値はますます上がっていくものと思われます。
引き続き、注目すべきコインだと言えるでしょう。

参考文献

仮想通貨Avalanche(アバランチ)/AVAXとは?特徴と今後の予想・将来性を徹底解説

仮想通貨Avalanche(AVAX)とは?購入方法や今後の予想・将来性を徹底解説

初心者でもわかるAvalanche(アバランチ)とは|注目すべき点や将来性を解説

【レッスン②】分散型システムのコンセンサスを理解しよう

時価総額ランキング