オーガー(Augur)とは?未来予測で報酬を獲得できるプラットフォームを解説。
世界には、合法・非合法を問わずさまざまな賭け事が行われていますが、仮想通貨の世界においても、実世界の未来を予測することで配当を獲得できる「未来予測市場」が存在します。
この新しい概念を持ち込んだコインが、オーガー(Augur/REP)です。
この記事では、オーガーの概要や主な特徴、そして社会における具体的な活用法について、詳しく解説します。
目次
オーガーは、未来予測で報酬を得られるプラットフォーム
オーガーは、実世界における未来予測によって報酬を獲得できる「未来予測市場」
のプラットフォームです。
プラットフォーム名のAugurとは「占い師」という意味であり、通貨単位のREPは「Reputation(評判)」から付けられています。
このアメリカ発の非中央集権プラットフォームは、2014年にジャック・ピーターソン氏とジョーイ・クレッグ氏の2人によって共同で考案されました。
そして、2016年10月には、最初のバージョンが稼働しています。
オーガーは、イーサリアム(Ethereum/ETH)のスマートコントラクト機能を利用したプラットフォームであり、アドバイザーとしてイーサリアム創始者のヴィタリック・ブテリン氏を迎え、さらにライトニング・ネットワーク創業者のエリザベス・スターク氏も参加しています。
オーガーの最大の特徴は、予測市場 (Prediction Market)という、未来の予測に基づく先物取引ができる点です。
つまり、俗に言う「ギャンブル」なのですが、オーガーでは賭博ではなくあくまで「予測市場」だと主張しています。
オーガーには多くの人々が参加しており、世の中のさまざまな出来事について、非常に精度の高い予測が行われています。
これは「The Wisdom of the Crowd(群衆の知恵)」という思想に基づくものであり、大勢の人々による集合知を生かしたプラットフォームとも言えるでしょう。
2021年12月現在、オーガーは1REP=2,400円前後で取り引きされており、時価総額は約270億円、仮想通貨の市場ランキングでは第313位の規模を保持しています。
誰もが簡単にブックメーカーになれるオーガー
オーガーは、胴元など第三者の仲介者を介さず、個人間で賭け事ができるプラットフォームです。
アメリカ大統領選挙の勝敗やワールドシリーズの勝者など、社会的な事象が未来予測の対象となっています。
全ての賭け金は、スマートコントラクト(スマートコントラクト/Smart Contract)上において管理されます。
オーガーを利用すると、世界中の誰もが簡単にブックメーカーになれます。
ブックメーカーは資金を供出して未来予測市場を構築し、そこで発生する手数料の半分を受け取ることができる仕組みです。
日本では、競馬・競輪・競艇・オートレースは公的機関が手がけていますが、オーガーを使えば個人でも未来予測による賭け事のスキームを運営できます。
これらは特定の管理者によって運営されているため、中央集権的であると言えるでしょう。
一方のオーガーは分散型であるため、従来型のサービスより低コストで運営が可能です。
オーガーでは、世界中の「レポーター」と呼ばれる人々が予測市場の正否を評価するという評価システムが構築されています。
レポーターは定期的に評価報告をする替わりに、オーガーのトークンであるREPを獲得できる仕組みです。
レポーターはあらかじめ供託金を支払って認定の作業に携わっており、正しく事実認定をすれば報酬が手に入りますが、誤った事実を認定すると供託金が没収されてしまいます。
また、多数のレポーターが存在するため、半数以上の結託が無い限り不正は起きません。
さらに、その活動内容は定期的にプレーンテキストで一般公開されるため、どのレポーターが真面目に活動をしているのかが、すぐに分かります。
このように、レポーターにインセンティブを与えることで、オーガーは信頼できる予測市場を運営できるようになっています。
オンラインカジノや保険に活用が期待されるオーガー
現在の予想市場であるカジノやブックメーカーは、仲介業者を挟みます。
また、ギャンブルは昔から「胴元が一番儲かる」と言われています。
しかし、オーガーによる分散型予想市場であれば、仲介者は要らず、ユーザー間で取り引きが完結するため、賭けのオッズや賭け金の預かり、結果の事実認定、配当まで、全てが自動化されます。
これによって、公平で胴元がいないギャンブル市場が構築できるため、オンラインカジノへの利用が見込まれています。
またオーガーは、保険会社のシステムとしても活用が期待されています。
現在の保険は、保険料を払い続けることでシステムに参加しており、決められた期間で病気にならなかった場合は保険料は戻らず、病気にかかった際は医者が判定し、保険会社の承認を経て保険金が支払われる仕組みです。
一方で、オーガーでシステム構築すれば、自分が病気にかかるという予想に基づき、掛け金を支払って保険に参加できます。
設定した期間内に病気が発症しない場合は、掛け金は没収されます。
そして、病気にかかった際は医者が判定するのは従来と同じですが、オーガーでは医者をレポーターに見立て、すぐに配当金が支払うことが可能となります。
これが実現すれば、保険商品の胴元である保険会社のコストは不要となり、全てがスマートコントラクトで完結できるようになるでしょう。
このように、オーガーは社会インフラに変わる可能性がある、非常に有望なプラットフォームです。
なお、オーガーは「予測市場」と主張してはいるものの、日本には「賭博罪(刑法185条)」の規定があり、場合によっては賭博・ギャンブルとみなされる危険があります。
オーガーのイベントに参加する際は、よく法律と照らし合わせる必要があるでしょう。
国内においては、過去にコインチェック社が取り扱っていましたが、2018年で上場廃止。
現在は、海外の取引所でない限り入手はできません。
まとめ
以上、オーガーの概要や主な特徴、そして社会における具体的な活用法について、詳しく解説しました。
分散型の予測市場によって、オンラインカジノや保険システムとして活用が期待できるオーガー。
特に保険への活用は非常に有望ですが、国内では「賭博法」や「保険業法」が設けられており、オーガーによる分散型のシステムが日本で認められるのかは、まだ未知数です。
今後の展開に期待しながら、その動向に注目していく必要があるでしょう。
参考文献
仮想通貨Augur(オーガー・REP)とは?特徴と将来性を解説
仮想通貨Augur(オーガー・REP)とは?特徴と将来性を解説