【2022年最新】AIを活用したフィットネス業界のDX事例5選

by AIGRAM

新型コロナウイルスの感染拡大により、スポーツジム・フィットネスクラブの業界は、経営破綻に陥る例が続々と増えてしまいました。
この厳しい状況を打開するには、AI(人工知能)やビックデータを活用したスポーツジム・フィットネスクラブ業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)がカギだと言われています。

そこで今回の記事では、工学博士を取得し、株式会社AIGRAM代表取締役兼Fintech(ブロックチェーン)系ベンチャー企業のCTOを務めている伴直彦が、AIを活用したフィットネス業界のDX事例を5つ厳選し、分かりやすく解説します。

目次

事例①予約電話に対する自動応対

スポーツジムでは、インストラクターによる様々なメニューのレッスンが随時開講されています。受講できる人数には上限があるため、前もって予約が必要な場合がほとんどです。また、パーソナルトレーニングでも、トレーナーのスケジュール調整が必要なため、事前予約が必須です。

しかし、スポーツジムでは予約電話に応対する専属のスタッフが配備されていない場合もあります。特に人手が不足しているジムにとって、いつかかってくるかわからない予約電話にスタッフが応対するのは難しく、負担が大きいのが実情です。

そこで、AIの音声認識によって、予約電話に自動的に対応するシステムの需要が、スポーツジム・フィットネスクラブ業界でも高まっています。予約電話への自動応対は、すでに商品化されているスマートスピーカーの機能を応用させたものですので、実用に十分耐えられます。しかも、電話での会話内容を文章化し、要点のみをかいつまんで記録する機能も備わっています。電話での会話は無駄や脱線が少なくありませんので、会話内容から予約受付に必要な情報のみを自動抽出できるのは、ジムの業務上とても便利です。

事例②ジムの混雑具合を解析して、会員に公開

スポーツジム・フィットネスクラブの会員にとって、常設されているマシンの使用割合や混み具合は重要な関心事です。「今、ジムに行っても、空くまで待たされるのではないか」と思うと、ジムから足が遠のいてしまうこともあるでしょう。1つのマシンを複数の会員で共有しなければならないからこそ、今、どのマシンが空いているのか、今すぐに使えるのかを知りたいのです。

たとえば、「A-1スポーツクラブ」笹塚店が導入しているAI画像解析システム「GYM DX」には、スポーツジム全体を一望できるカメラの映像から、どの種類のマシンが何台空いているのか、利用率を割り出して会員に対して自動的に情報公開する機能があります。

マシン自体にセンサーが付いていなくても、カメラ映像の中からリアルタイムに人間の姿や人数を検出できるため、マシンの利用率も自動的に計算できるのです。この分析結果を常にビッグデータとして蓄積していれば、ジムの運営側も近い将来の来客予測をすることが可能で、たとえば空いている時間帯に割引クーポン等の特典を発行するなど、適切なタイミングで有効な集客キャンペーンを打ち出せるようになります。

また、「GYM DX」のAIは、ジム内の映像から「床などに倒れたまま動かない人間」など、異変を自動的に検知することもできますので、ジムのスタッフはトレーニング中に体調を崩した人に、いち早く対応を行うことが可能となります。

事例③食事に対する自動アドバイス

フィットネスジムで、専属のパーソナルトレーナーを付けた場合には、日々の食事に対して適切かどうかのアドバイスが送られるでしょう。特にダイエットを目的としていれば、脂肪分を取り過ぎたり、カロリーの過剰摂取になったりしないよう、食事に関するマネジメントは重要な事柄です。筋肉を付けるのであれば、良質なタンパク質を重点的に摂らなければなりません。

ただ、パーソナルトレーナーを付けるのは高額となりますので、一般のジム会員は日々の食事を自己管理するしかありませんでした。
しかし、AIによる画像解析機能を応用すれば、食卓の写真から食材の種類や量を抽出し、その栄養分やカロリーを自動的に検出することも可能となるでしょう。その分析結果をもとに、AIがアドバイスを送ることもできます。

AIは単独で画像の内容や意味を解析することはできませんが、その内容や意味と共に大量の画像を読み込ませれば、ビッグデータ分析によって、新たな画像にどの要素がどれぐらい含まれているのかを出力できます。つまり、画像のどの部分が「ご飯」で、どこが「味噌汁」なのかを抽出し、その割合からカロリーや成分を推測することも技術的に可能なのです。

もし、パーソナルトレーナーにも引けを取らない品質の的確な食事アドバイスが、AIによって再現可能となれば、より多くの人々の健康管理がAIの力で維持できるようになるでしょう。そして、食事アドバイス業務をAIに任せることができれば、パーソナルトレーナーは人間にしかできない専門業務に集中できるため、パーソナルトレーニング自体のサービス品質も向上するものと期待されます。

事例④パーソナルトレーニングの低価格化

別のアプローチで、パーソナルトレーニング自体をAIによって無人化・自動化させ、トレーナーの人件費を省くことによって、従来よりも大幅な低価格で提供できる可能性があります。

具体的には、トレーニングマシンの中に専用のAIを搭載し、人間のトレーナーに代わってリアルタイムで励ましやアドバイスを送れるようにする取り組みです。腕や脚の筋力や可動域は、人によって大きく異なります。そのデータをAIが解析し、個性に合ったトレーニングメニューや重りの負荷を提案します。

従来のパーソナルトレーニングでは、トレーナー自身の経験則や直感によって、個人ごとにアドバイスが変わっていたところ、AIパーソナルトレーニングでは一定の基準でアドバイスが決まっているため、トレーニング品質を統一、安定化させることに繋がります。

メニューが合理的に効率化されることで、トレーニング時間が短縮される可能性がありますし、トレーニング中にけがをするリスクも回避できます。

また、AIパーソナルトレーニングにチャットボット機能も応用させれば、会員の相談や心配事に対して的確な回答を返すことができますので、満足度はより高まっていくでしょう。

事例⑤会員の退会リスク分析

スポーツジムの多くは月額会費制であり、一種のサブスクリプションモデルで支えられています。会員に通ってもらう間は、ジムの収益が安定しているのですが、ひとたび退会されればそのまま売上の損失に直結します。

そこで、AIによって各会員の動向をビッグデータとして追跡し、退会のリスクをシステムが検知したならば、ジム運営者に通知し、適切にフォローするよう促すこともできます。

ある会員の退会リスクが高まっているかどうかは、ジムへの来場履歴や会員用アプリの利用状況などを、過去に実際に退会した会員のデータと照らし合わせて算出します。退会リスクが高まっている会員は、ジムに対して何らかの不満や不安を隠し持っていたり、なかなか希望の成果が出ないことへの挫折感をおぼえたりしていることもあります。そうした会員に対して、ジムのスタッフやトレーナーが声を掛けて、適切なフォローアップを図ることにより、退会を未然に防ぎ、安定した収益を維持できる可能性が引き上がるのです。

サマリー

コロナ禍によって大きな打撃を受けたスポーツジム・フィットネスクラブの業界は、DX(デジタルトランスフォーメーション)が比較的遅れているといわれている。勤務するスタッフやトレーナーのヒューマンパワーに依存していた業務の一部でも、AIに置き換えることによって、効率や生産性がより向上し、顧客満足度も引き上がるものと期待される。

おわりに

今回は、AIを活用したフィットネス業界のDX事例を5つ解説しました

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参考文献

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