【内閣府も推進】「AIを活用したマッチングアプリ」や「死者の声の再現」など|冠婚葬祭へのAI・ビッグデータ活用事例5選

by AIGRAM

2022年現在、日本では少子高齢化がますます加速しています。
現在の予測では約40年後までに、65歳以上人口はほぼ横ばいで推移する一方で、20歳~64歳人口は大幅に減少し、高齢化率は約10%程度上昇することが見込まれています。

この問題を打開すべく、内閣府AI(人工知能)やビッグデータを使った男女のマッチングアプリに対して、積極的に補助を行っています。
それに加え、今後高齢者の死亡者数が増えることを見込み、AIを活用し遺族の悲しみを癒やし、葬儀会社の作業負担を軽くする様々なサービスも注目されています。

そこでこの記事では、工学博士を取得し、株式会社AIGRAM代表取締役兼Fintech(ブロックチェーン)系ベンチャー企業のCTOを務めている[伴 直彦](https://aigram.jp/pages/my-name-is)が、「AIを活用したマッチングアプリ」や「死者の声の再現」など、冠婚葬祭へのAI・ビッグデータ活用事例を5つ厳選して解説します。

目次

①AIがサポートする新型婚活

若者世代の結婚意欲を醸成させるため、2014年頃から日本政府(内閣府)は、自治体による婚活支援プロジェクトに対して積極的に補助金を支給してきました。特にAI(人工知能)やビッグデータを使った男女のマッチングシステムに対して、補助を行っている点が注目されています。

今までの出会い系サイトやマッチングアプリでは、お互いの顔写真やプロフィールなどを確認し、条件が合致していたり、メッセージのやりとりで相性が合うと感じられれば、実際にアポイントメントを取って会うという流れが一般的でした。

愛媛県の「えひめ結婚支援センター」が提供しているマッチングシステム『愛結び』では、2011年からの5年間で蓄積させてきた会員のマッチング履歴をビッグデータとして活かし、AIによって独自に分析させることで、従来の条件マッチング機能に加えて「ビッグデータからのおすすめ」と名付けた自動リコメンド機能を搭載させました。男女がお互いに自分の検索条件から外して、プロフィールなどを閲覧していなくても、ビッグデータによって両思いになる可能性が高い会員の組み合わせを割り出し、AIが会員ごとの推奨リストに掲載していくのです。

異性に求める条件でアプローチをかけても、なかなかマッチングに至らなかったり、実際に会って話しても関係が続かなかったりする会員に対して、もうひとつの有効な選択肢を与えられる強みがあります。

『愛結び』における「ビッグデータからのおすすめ」機能を運用して以来、お見合いにまで至った会員の割合は、従来の13%から、33%にまで引き上がる実績を果たしています。

埼玉県でも、民間の婚活支援企業「パートナーエージェント」と提携し、AIやビッグデータを地域の婚活サポートに活かす取り組みを始めました。会員に100以上のパーソナルな質問に回答させ、その回答をAIに分析させることで、相性が合いそうな異性を自動的にリコメンドさせる機能を実用化させたのです。それ以来、成婚に至ったカップルの約半数は、AIによるリコメンドがきっかけだといいます。

②結婚式場探しをAIでサポート

結婚式場に対するレビューを集約させたプラットフォーム「ウエディングパーク」では、サイト上での訪問者のページ回遊状況や滞在時間などを逐一、ビッグデータとして蓄積させ、結婚式場探しに関心がありそうなユーザーの潜在的な需要や、最新のトレンドをリアルタイムでAI分析することができる「Data Analytics PlatformDAP)」を運用させています。

結婚式場探しに関心のあるカップルの問い合わせがあったとき、スタッフが知識や経験と共に、ビッグデータ分析結果まで交えた提案を実現させることで、顧客満足度を多方面から向上させようと取り組んでいるのです。DAPの導入に伴い、ウエディングパークでは専属のデータサイエンティストを配属し、ビッグデータの本格的な活用をめざしています。

次に、葬儀業界におけるAI・ビッグデータの活用例をご紹介します。

③故人の声をAIで再現させる

2019年の紅白歌合戦で成果が披露された、歌手の故 美空ひばりさんの音声をAIで分析・再現し、約30年ぶりの「新曲」を創り上げるという「AI美空ひばり」プロジェクトは、世間の注目と話題を集めました。世間のファンからはおおむね好評でしたが、日本人にとって特に影響力のある人物の歌声の再現だけに「死者の冒涜である」という批判も一部にありました。ただ、ひばりさんの遺族らが率先して支援したプロジェクトということで、一定の理解が得られています。

このAIによる音声再現技術が、今では一般の人々も利用できるようになっています。たとえば、音楽配信大手のエイベックス傘下にあるコエステ株式会社がリリースしている『デジタルボイス・プレミアム』では、スタジオ収録した音声をもとにして、本人の声質やしゃべり方、テンポなどの特徴などがAIによって高品質にサンプリングされた合成音声を、テキスト入力だけで自由に再生させられる技術が基になっています。これにより、亡くなった方の音声を遺族の希望で再現させる取り組みも行われています。

葬儀などで、参列者に対して、故人の合成音声でお礼を述べるなどの試みも可能となります。現時点では、事前に本人がスタジオ収録を行って音声サンプルをとることが前提となっていますので、たとえば、ホームビデオやカセットテープなどに残っている既存の音声をサンプリングして、オリジナルの音声に合成させることは技術的に困難です。しかし、AIは日進月歩で進化していますので、近いうちに可能となるでしょう。事故や急病などで突然亡くなった方の遺族の悲しみも、AIの合成音声によって癒やされる時代が、すぐそこまで到来しています

④葬儀ナレーションのAI自動生成システム

株式会社ビアンフェがリリースしたAI葬儀ナレーション生成システム「IKIRUいきる)」は、司会の依頼や準備時間が不要で、葬儀用の進行ナレーションを自然な合成音声で再生させる技術です。

IKIRUでは、故人の性別・年代・死因・家族構成・人柄・趣味などに関する少数の簡単な質問に答えてデータをインプットするだけで、故人の思い出やご遺族の感情に即した適切なナレーション台本が、専用の文書生成AIによって自動的に作成されます。そのため、たとえご家族との突然の別れが訪れ、十分な準備ができなかったとしても、プロのアナウンサー顔負けの品質の合成音声で、葬儀がスムーズに進行させることができるのです。

いずれにしても、葬儀のために前もって家族が用意周到に準備するのは縁起が良くないことであり、葬儀は不幸があった直後、葬儀社の主導であわてて準備するのが通常です。その点で、文書生成AIと音声合成AIによって、進行ナレーションの準備の手間を大幅に省略し、遺族の負担を軽減できる「IKIRU」は重宝されるに違いありません。

葬儀社にとっても、IKIRUの活用によって、専門の司会スタッフや原稿作成のライターなどに外注する必要がなくなり、外注費の削減に繋がるメリットがあります。

⑤電話での問い合わせをAIが自動的に要約記録する

インターネットの活用が進む葬儀業界ではありますが、葬儀の依頼は緊急を要するため、遺族の大半は電話によって連絡が入ります。そのため、依頼内容について正確な記録ができていない場合があり、遺族と葬儀社の間で「言った」「言わない」をめぐってトラブルになるおそれがあります。

通話内容を音声録音することも可能ですが、葬儀の対応はスピードが命ですので、もう一度再生して聞き返す手間も惜しい場合が多いでしょう。そこで、ライフアンドデザイン・グループが展開する通話内容を音声認識で文書化し、さらにAIが要約して記録する「VContact」システムが、葬儀業界でも積極的に利用されています。
もともとは、企業が顧客からの問い合わせやクレームに対応するコールセンター向けのシステムとして発売されていました。ただ、人材不足が深刻で、遺族との電話応対も大変な葬儀業界からの引き合いも多くなっているといいます。

サマリー

少子高齢化の社会動向に伴って、結婚を希望する若者が減り、一方で葬儀の件数は年々増えている。ともに経営の難しさを抱えている両業界で注目されているのが、AIやビッグデータの力を借りた新世代型のサービスである。結婚の希望を叶えるカップルが増え、遺族の悲しみを癒やし、葬儀会社の作業負担を軽くする様々なサービスについて概説する。

おわりに

今回は、冠婚葬祭へのAI・ビッグデータ活用事例を5つ厳選して解説しました。

このサイトではブロックチェーンに関連したビジネスや暗号通貨についての記事を発信しています。今回の記事が良かったという方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。

また、株式会社AIGRAMではブロックチェーン/AI技術を用いたWeb開発やアプリ開発、エンジニア育成、技術コンサルのご依頼を承っています。興味がある方は、ぜひコチラからご連絡ください。

参考文献

単なるマッチングじゃない? AI婚活へ補助、国も本腰

えひめ結婚支援センター『愛結び』におけるビッグデータの活用

ウエディングパーク、結婚式場探しに特化したデータ分析プラットフォーム「DAP」サービス開始

ビックデータを活用、「結婚式場探し」に特化したデータ分析プラットフォーム「DAP」サービスを開始

一般人の声をAIで再現できるサービスがすごい! 葬式や冠婚葬祭で生前の声で喋ることも

日本初、プロ司会者考案のAI葬儀ナレーション作成システム

通話内容をAIが要約して記録 葬儀社の問合わせ応対に「音声認識できるくん」を導入 ライフアンドデザイン・グループ