【テレワーク革命】博報堂が開発。「PRAISE CARD」を導入する2つのメリット

by AIGRAM

新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入する企業が増えています。

テレワークの導入には、自由な働き方や移動時間の削減など様々なメリットがある一方で、対面でのコミュニケーションが減ってしまうというデメリットもあります。その結果、多くの企業が、社員同士の連帯感や信頼感の希薄化を招いてしまうことに頭を抱えています。

この問題を解決しようと、広告代理店として有名な博報堂が、ブロックチェーンを活用した職場コミュニティアプリ「PRAISE CARD」を開発しました。今回の記事では、工学博士を取得し、株式会社AIGRAM代表取締役兼Fintech(ブロックチェーン)系ベンチャー企業のCTOを務めている伴直彦が、PRAISE CARDを職場に導入する2つのメリットについて解説します。

目次

PRAISE CARDとは

「PRAISE CARD」とは、従業員同士が感謝や称賛の気持ちをデジタルカードで送りあえるスマートフォンアプリです。このアプリは、2021年8月に株式会社博報堂コンサルティングと日本ユニシスと共同で開発されました。

このようなコンセプトのサービスは従来から多く存在していましたが、「PRAISE CARD」はブロックチェーンを用いて課題解決を行なっているという点で、従来のアプリとは一線を画しています。ここでは、テレワークにてPRAISE CARDを導入する2つのメリットを解説します。

メリット1:社内コミュニケーションの活気を分析できる

PRAISE CARDには、ただ感謝の気持ちを送り合うだけでなく、それらの送受信量やカードの保有量をブロックチェーンに記録し、誰が誰に送ったのかを分析できる仕組みが備わっています。これによって、社内コミュニケーションの活気を分析し、職場環境の改善に生かすことができます。

導入企業は、従業員に求める行動指針や企業価値を記載したカードを設定し、それを従業員で送り合うことができます。2021年11月現在、デフォルトの設定では「寄り添う」「挑戦する」「明るく前向き」「未来を発想する」「誠実」「グループシナジー創出」「チームマーチャンダイジング」の7種類が5枚ずつ、計35枚を保有しており、それらを他のメンバーと送りあえるようになっています。

それらの送受信量や保有量の記録はブロックチェーンに記載され分析が可能になっていますので、部署や部門、全社内での活気を可視化することで「組織の課題を見つけて職場環境の改善ができる」と期待されているのです。

メリット2:共同プロジェクトでの活用可能性がある

PRAISE CARDのブロックチェーンはグローバルなトークンエコノミーの分野で一定のシェアがあり、開発と普及、標準化が進むEnterprise系イーサリアム(Ethereum/ETH)を使用しています。この選択は、将来「PRAISE CARD」が国内外における社会基盤として普及することを想定しているようです。

現在の段階では、カードが送れるのは組織内に留まります。しかし、昨今の企業間のオープンイノベーションの取り組みの増加を考慮し、今後は組織を超えて利用されることも視野に入れているそうです。例えば複数企業の社員がプロジェクトを一緒に進める中で、PRAISE CARDを使ってコミュニケーションを活性化し、称賛文化の醸成によってプロジェクトの円滑な進行を図るといった使い方が、今後できるようになるかもしれませんね。

コロナ禍でテレワークが普及した今、対面でのコミュニケーションの減少やそれによる社員同士の信頼感や連帯感の低下が問題視されています。PRAISE CARDはこれらの課題を解決し、テレワーク時代の必須アイテムになるのでしょうか。今後の展開が楽しみです。

現在は一部の企業でトライアル導入されており、その結果をもとに改良・開発が進んでいます。そして後日、一般企業に向けて正式に提供を開始するそうです。

HAKUHODO Blockchain Initiativeの取り組み

それにしても広告代理店として有名な博報堂が、このようなブロックチェーンを活用したプロジェクトを推進しているなんて、驚かれた方もいるのではないでしょうか。博報堂では、ブロックチェーン技術を活用した、新しいビジネスやサービスの開発を推進するプロジェクト「HAKUHODO Blockchain Initiative(博報堂ブロックチェーン・イニシアティブ)」を推進しており、PRAISE CARDもその取り組みの一環として生まれたサービスです。

HAKUHODOU Blockchain Initiativeでは、他にもブロックチェーン技術を活用した新しいビジネスや開発を推進するプロジェクトを進めています。以下では、そのいくつかをピックアップして紹介します。

LiveTV-Show(ライブ・ティービー・ショー)

LiveTV-Showはブロックチェーン技術を活用したファン育成プラットフォームです。エンターテイメント業界はライブ配信などオンラインを活用した新たな取り組みを展開する中、多くのテレビ局も視聴者との接点の拡大に向け、テレビとオンラインの融合した新たな番組づくりを模索しています。

2021年1月、LiveTV-Showに新たに搭載されたライブ配信機能では、テレビ局の個別の番組向けに自由にカスタマイズできる機能が備わっており、専用のツールやアプリではなくWebブラウザ上で配信・視聴することが可能です。

また本ライブ配信機能を、LiveTV-Showに搭載されているデジタルフォトや楽曲などの販売機能や投げ銭機能と連帯することで、双方向の番組作りが実現します。デジタルフォトや楽曲等の販売機能にはブロックチェーン技術が使用されており、複製を防具だけでなく、数量を限定した販売が可能になっています。

C-Guardian(シー・ガーディアン)

C-Guardianとは、ブロックチェーン技術を活用してデジタルコンテンツの著作権を管理し、著作権侵害から保護するサービスです。

このサービスを利用すると、コンテンツをWebサイトに公開した際に著作物(テキスト・画像・動画)の情報がブロックチェーン上に記録されます。そして機械学習技術を用いて、著作物と類似するコンテンツがインターネット上に掲載されていないかを常時探索し、著作権を侵害しているWebサイトを発見すると、当該サイト及びコンテンツの情報をブロックチェーン上に記録、証拠として保全されます。(ちなみに、このサービスではブロックチェーンコンソーシアム『Japan Contents Blockchain Initiative』が運営するブロックチェーンプラットフォーム上で情報が管理されています。)

本サービスを利用することで、今まで人の手では困難だったインターネット上の膨大なコンテンツの分析、記録、証拠化を実現することで、違法なサイトへの迅速な対応が可能になり、適切に著作権を保護することが可能になるのです。

以上のようにHAKUHODO Blockchain Initiativeではブロックチェーンを活用した様々な活動をしています。PRAISE CARDをはじめ、その他様々な取り組みをしている同社の今後の動向には、目が離せません。

おわりに

今回は、PRAISE CARDを職場に導入する2つのメリットとHAKUHODO Blockchain Initiativeについて解説しました。

このサイトではブロックチェーンに関連したビジネスや暗号通貨についての記事を発信しています。今回の記事が良かったという方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。

また、株式会社AIGRAMではブロックチェーン/AI技術を用いたWeb開発やアプリ開発、エンジニア育成、技術コンサルのご依頼を承っています。興味がある方は、ぜひコチラからご連絡ください。

参考文献

YAHOOニュース『【取材】職場コミュニティ活性化支援サービス「PRAISE CARD」とは?(博報堂広報室)』

PRTIMES『博報堂と博報堂コンサルティング、日本ユニシスと共同で、ブロックチェーン技術を活用し、職場コミュニティの活性化を支援するアプリサービス「PRAISE CARD」を開発』

HAKUHODO『【プロジェクト】HAKUHODO Blockchain Initiative(博報堂ブロックチェーン・イニシアティブ)』

ITmedia NEWS『“感謝の気持ち”送り合うアプリで社内活性化 ブロックチェーン活用、博報堂など開発』

日本経済新聞『感謝と称賛、職場での新しい伝え方 アプリで簡単に』