【ブロックチェーン×不動産】ツバイスペースとは?|世界で最も注目されている日本発のブロックチェーン企業について徹底解説!
2022年現在、不動産テックの領域で世界で最も注目されている日本発のブロックチェーン企業と言っても過言ではない「Zweispace(ツバイスペース)」。残念ながら、同社の日本での知名度はそこまで高くありません。
同社は、KEMGが発行する「不動産界のグローバルイノベーション企業2020年版」に選出されただけではなく、シリコンバレーのサミットでスタートアップアワードを受賞したり、世界初のブロックチェーン登記システムを開発したりと、数々の輝かしい実績を残しています。
今回の記事では、工学博士を取得し、株式会社AIGRAM代表取締役兼Fintech(ブロックチェーン)系ベンチャー企業のCTOを務めている伴直彦が、ツバイスペースの主力事業や同社が開発した世界初のブロックチェーン登記システムまで、その全貌を徹底解説します。
目次
1.ツバイスペースとは
ツバイスペースは2016年5月、東京都江東区に亀田勇人氏によって設立された不動産テック企業です。同社は不動産業界に関連する様々なアプリケーションの開発を主軸とし、アジア各国を中心に利用者を拡大しています。
ここで、ツバイスペース株式会社CEOの亀田氏について軽く説明しましょう。
亀田氏は京都大学理学部卒業後、インターネット、テレコム、ファイナンス、ベンチェーキャピタル、教育及び不動産業界のグローバル企業の仕事に20年以上従事してきました。ソフトバンクグループでは、CEOのオフィスディレクターとして、ソフトバンクの創設者である孫正義氏とともに、アジアのインターネット業界の改革に参加しました。ソフトバンクといえば、大成功した事業の一つに、「Yahoo!BB」のブロードバンドのビジネス、つまりソフトバンクの通信事業のビジネスがありますが、これは亀田氏が提案した事業企画だったのです。
ツバイスペースを設立する前には、大手不動産会社センチュリー21のオープンハウスのファンド部門であるARKアセットマネジメントのCEOを務め、不動産、スマートコントラクト、AI、IoT、地震探知システムなどを中心に、複数のブロックチェーン関連の特許を取得しました。このような様々な職務経験を通じ、亀田氏は世界一レベルのテック企業を予定してツバイスペースを設立したのです。
2.ツバイスペースの主力事業は?
ツバイスペースの活動範囲は非常に広範に渡り、様々な開発を進めているのでその全てをこの記事で記述することはできませんが、主力となる3つのアプリケーションの例を挙げ、どのようなアプリを開発しているのか説明します。
①ロボット建築プランナー「オートカルク」
:土地の情報を入力するだけで、自動で建築プランを作成してくれる画期的なアプリです。従来であれば1週間程度かかっていた建築プランの作成が、たったの5分で完了してしまいます。
②耐震強度測定アプリ「ナマズ」
:建物の情報を入力するだけで簡単に耐震強度測定ができるアプリです。自分の家の耐震強度を、スマホ一台でお手軽に確認できます。
③不動産仲介手数料割引アプリ「お不動くん」
:不動産売買で発生する仲介手数料を、サイコロを使って割引できるアプリです。ほぼ確実と言っていいほど仲介手数料を安くすることができます。
3.世界初のブロックチェーン登記システム
このようにツバイスペースはあらゆるテクノロジーを使って不動産業界を刷新しつつありますが、その中でもとりわけ注目に値するのが、2018年に開発された世界初のグローバル基準のブロックチェーン登記システム(権利記録)である「レジスターナイト(RegisterKnight)」です。実は、現在不動産分野でのブロックチェーン特許は、ツバイスペースがいち早く世界を抑えている状況なのです。
この「レジスターナイト」を使うことで、ツバイチェーンと呼ばれるパブリックチェーンとプライベートチェーンを融合したブロックチェーンに権利記録を行うことができます。2019年には日本の司法書士法人ライズアクロスがレジスターナイトの実務運用を開始しています。
4.不動産×ブロックチェーンで解決できる問題
同社は不動産業界に関連する様々なアプリケーションの開発を主軸とし、アジア各国を中心に利用者を拡大しているのです。
では、登記にブロックチェーンを利用することで、どんな問題を解決することができるのか。それは一つには「役所と登記申請者(または司法書士法人)間の情報の非対称性」の解消が見込めると言われています。
従来の課題として、役所は「不動産の所有者は本当にこの登記申請者本人なのか?」を確かめるのが難しいということがありました。そのため、権利証明や複雑な登記申請手続きなどが必要となり、登記申請者(または司法書士法人)にとっても役所にとっても、取引コストが増大します。
しかし、「レジスターナイト」でブロックチェーン上に登記の権利記録をすれば、改ざんは不可能に近いので「不動産の所有者は本当にこの登記申請者本人なのか?」を確かめる必要がなくなります。そのため、権利証明などの手続きが不要になるため、取引コストを減少させることができるのです。
このような理由から、ブロックチェーン上に登記の権利記録を行うことは非常に有効であると言えるのです。
5.ツバイチェーンの低いガス代
ツバイスペースのブロックチェーンを活用した取り組みは、これだけではありません。
2020年9月、ツバイスペースは、不動産トークンのツバイノートの組成を、シンガポールの拠点を中心に開始しました。
実はツバイスペースは、仮想通貨関連の日本の規制の議論が始まる前のブロックチェーンの黎明期に不動産トークンを作成し、ブロックチェーン関連の特許を取得した後も、イーサリアム(Ethereum/ETH)のERC20規格のトークンや、ビットコインキャッシュ(BitcoinCash/BCH)チェーン上のトークン、ビットコインSVへ記録したトークン、等を作成するなど、常に最良のトークナイゼーションシステムについての検討をすすめてきました。
「ツバイスペースの沿革」の①~③でも挙げたような不動産テックアプリが利用できる、ユーティリテイーステーブルコインである「ツバイコイン」は、現在ツバイチェーンのプロトコルのコインです。今回の不動産の権利型のトークンとなる「ツバイノート」が採用するブロックチェーンは、プライベートチェーンとしてツバイチェーン、パブリックチェーンについては、イーサリウムその他のチェーンを採用します。
ツバイチェーンは、ビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリウムなどの通常のブロックチェーンと違い、電気代の無駄をなくし、各サーバーノードに権威付けをすることにより、比較的少数のサーバーノードをハッキング耐性を持たせつつ保全することが可能となります。ツバイスペースは、スマートコントラクト関連の特許や、マルチシグ関連の特許も取得しており、現在の一般的なブロックチェーン技術よりもよりエネルギー効率の高い、次世代のブロックチェーン技術を開発し運営しているのです。
6.メタバース上のNFTアパレルショップの賃貸業を開始
2022年1月18日、同社はツバイチェーンを利用し、メタバース空間のNFTアパレルショップの賃貸業を開始を始めました。具体的には、メタバース空間のコワーキングスペースやアパレルショップの賃貸を開始しており、アパレルフロアでは、アバターがNFTアパレルを試着することができます。
ツバイスペースが運営する東京コインピックのメタバース内では、アパレル店舗や、フィッティングルームが既に2021年度夏に開設され、運営されています。そしてユニークなのは、メタバースで試着できるのと同じ服が、リアルワールドの実店舗でも販売している点です。さらに、服の販売に応じて、メタバース上での賃料がビルのオーナーにトークンで支払われる仕組みになっています。
今後のビジョンとして、ツバイスペースは、まずは地球に存在する不動産を、ブロックチェーンを通じて、バーチャル空間に一対一につなげトークン化していき、バーチャル空間での賃貸収入に加え、不動産と建設業界、その他実経済の各産業へ、さまざまな収益機会を提供していくと発表しています。
7.おわりに
今回は、世界で最も注目されている日本発のブロックチェーン企業「Zweispace(ツバイスペース)について解説しました。
このサイトではブロックチェーンに関連したビジネスや暗号通貨についての記事を発信しています。今回の記事が良かったという方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。
また、株式会社AIGRAMではブロックチェーン/AI技術を用いたWeb開発やアプリ開発、エンジニア育成、技術コンサルのご依頼を承っています。興味がある方は、ぜひコチラからご連絡ください。
参考文献
Trade Log『ブロックチェーンは不動産業界40兆円の切り札となりうるか?』
セントラルエンジニアリング株式会社『【特別インタビュー】株式会社ZWEISPACE JAPAN 代表取締役CEO 亀田 勇人様<前編>』