【徹底解説】メタバースへのブロックチェーンの2つの活用法とは?

by AIGRAM

2021年10月、Facebook社がMetaへと社名変更し、「メタバース」が日本でも大きく話題になりました。実は、このメタバースがこれから発展していく過程で、ブロックチェーン技術が非常に大きな役割を果たすということをご存知でしたか?

今回の記事では、工学博士を取得し、株式会社AIGRAM代表取締役兼Fintech(ブロックチェーン)系ベンチャー企業のCTOを務めている伴直彦が、そもそも「メタバース」とはいったい何なのか、そしてメタバースが発展していく過程でなぜブロックチェーンが大きな役割を果たすのかについて、最新情報を交えながら解説していきます。

目次

1.「メタバース」とは?

メタバースとは、一言で簡単に言ってしまえば「インターネット上の仮想世界」のことです。もう少し詳しくいうと、インターネットに繋がった3次元のバーチャル空間で、ユーザー同士が様々なコミュニケーションやコンテンツを楽しめる世界のことを指します。

2.メタバースを活用したサービスの具体例(ゲーム)

メタバースは、特にゲームの領域で活況を呈しています。例えば、世界で最も売れたゲームと言われている「マインクラフト」は、まさにメタバースを活用したゲームの典型例です。このゲームでは、プレイヤーは自分のプレイヤーを三次元のブロックの世界で動かしながら、様々な構築物や建築を作成します。この「三次元のブロックの世界」が「メタバース」であり、オンラインでのマルチプレイでは他の人と同一のメタバース上で協力しながら構築物を作成したり、コミュニケーションを行ったりと、様々な楽しみ方が可能となっています。また、他にもメタバースを利用したゲームの例としては「フォートナイト」や「あつまれ 動物の森」、「荒野行動」などがあります。

3.メタバースを活用したサービスの具体例(ゲーム以外)

ゲームの他にも、「VRChat」といったVRを活用したサービスもあります。VRChatでは、自分でコーディネートしたアバターをメタバース上で操作し、ボイスチャットやVR機材を利用してジェスチャーをしながら、他のプレイヤーとコミュニケーションを楽しみます。残念ながら日本人のユーザーはまだ少数派ですが、英語圏を中心に「世界で最も接続者の多いVR空間」として現在人気を集めているのです。

4.メタバースへのブロックチェーンの2つの活用法

このように、近年非常に注目を浴びているメタバースですが、今後メタバースが発展していく上で欠かす事ができないのが「ブロックチェーン技術の活用」です。ではいったいブロックチェーンはどのようにメタバース上で活用されていくのでしょうか。これは、大きく①NFTの活用と②仮想通貨の活用が挙げられます。

①NFTの活用

NFT(非代替性トークン/Non-Fungible Token)とは、Non-Fungible Tokenの略であり、ブロックチェーンを用いて発行された唯一無二のデジタルデータで、デジタルアイテムやコンテンツの固有性を保有していることを証明できる仕組みのことです。その特徴としては、従来のデジタルコンテンツではコピーすることが容易でしたが、NFTではコピーが不可能であることなどが挙げられます。そのため、デジタルコンテンツでも「所有権」という概念が生まれ、様々なビジネスに活用されるのではないかと考えられています。

そしてメタバース上でNFTを活用するといったいどのような事が可能になるのでしょうか。その一つの可能性として、メタバース上でのデジタルコンテンツの「商取引」が挙げられます。NFTは従来のデジタルコンテンツのようにコピーする事が不可能なので、現実世界で一点ものの商品やアート作品が高値で取引されるように、NFT上のデジタルコンテンツがメタバース上で取引される可能性があるのです。

具体例1:メタバース×NFT版「マインクラフト」

ここで、メタバース×NFTの色々な可能性について想像を広げてみましょう。
もしマインクラフトでNFTが活用されれば、自分が作った構造物や建築物を、「自分が作った」という証明ありで売買する事ができるようになります。現実世界で活躍する有名建築士が作成した家が、マインクラフトのメタバースで、高値で取引されることもあるかもしれませんね。

驚くことに、実はNFTを利用したマインクラフトのようなゲームは2021年現在、存在しています。それが「TheSandbox(ザ・サンドボックス)」というNFTゲームです。

TheSandboxは、マインクラフトのように3Dのオープンワールドの中で、建物をつくったりオリジナルのゲームをつくったりすることができるゲームです。TheSandboxではゲーム内の土地(NFT)が現実の不動産のように取引されており、2021年4月にはCoincheckが売り出した土地33区画分がわずか8分で完売して話題になりました。また、ボクセルアートという直方体を組み合わせたNFTの作品をつくり、それを販売することで収益化することも可能なのです。

具体例2:NFTアートのメタバースミュージアム

このように、メタバースとNFTは非常に相性が良く、少し考えただけでも様々な可能性が考えられますが、その中でも特に注目に値する構想が、暗号通貨ファンドMetapurseを運営している匿名投資家、「Metakovan」と「Twobadour」による「NFTアートのメタバースミュージアム」です。

MetakovanとTwobadourは、元はそれぞれアプリ開発者とジャーナリストでしたが、10年以上前に奇跡的な出会いを果たし共同で活動をはじめ、徐々にブロックチェーンやNFTアート、そしてメタバースの可能性に気づいていきます。
2人は2021年の3月11日に終了したNFTアートのオークションで、ビープル(Beeple)と呼ばれるアーティストのNFTアートを約6935万ドル(約75億円)というNFTアートとしては市場最高額で落札し、非常に話題になりましたので、名前を聞いた事があるという方もいるかもしれません。

彼らは昨年12月のセールでもビープルの作品100点を購入しており、それをCryptovoxelsと呼ばれるバーチャル空間の土地と組み合わせて独自のトークンとして販売しています。彼らが保有しているNFTアートのコレクションは膨大で、その価値は2億ドル以上に達しているとも言われています。そして最終的には、彼らはこれらのNFTアートのコレクションをメタバースのミュージアムで展示したいと考えているのです。
また、NFTについては私の他の記事にて詳しく説明していますので、興味のある方はこちらもお読みいただければ理解が深まります。

【超重要】NFTアートとは?|基本知識から買い方までわかりやすく解説!

②仮想通貨の活用

また、全世界がオンラインでつながることのできるメタバースでは、世界共通の通貨が必要になってきます。そこで、インターネット上で取引できる通貨として、メタバースでは仮想通貨が使われるようになってくるとも推測されています。

もちろん、まだ仮想通貨は投機的なイメージが強く、通貨として一般に広く浸透しているとは言えません。しかし近年、仮想通貨が「通貨」として使用されることが少しずつ増えてきたように感じます。例えばNFTアートの売買の決算手段には仮想通貨を使用する事ができます。また、NFTを利用したトレーディングゲーム「Crypto Spells」では、ゲーム内で入手できるカードがNFTとなっており、そのカードはNFTマーケットで売買されています。このNFTマーケットでも、決済手段では仮想通貨が使われるようになっています。

このように、ブロックチェーンを活用した市場では決済手段として仮想通貨が利用される機会が徐々に増えており、今後もその傾向は続いていくと考えられます。今後メタバース市場やその他のブロックチェーンを利用した市場が成熟していくにつれ、仮想通貨も徐々に通貨としての市民権を得ると推測されるのです。

5.おわりに

今回は、メタバースへのブロックチェーンの2つの活用法について解説しました。

このサイトではブロックチェーンに関連したビジネスや暗号通貨についての記事を発信しています。今回の記事が良かったという方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。

また、株式会社AIGRAMではブロックチェーン/AI技術を用いたWeb開発やアプリ開発、エンジニア育成、技術コンサルのご依頼を承っています。興味がある方は、ぜひコチラからご連絡ください。

参考文献

Engadget『Facebook、社名変更を計画か。「メタバース」企業としてリブランド』

BeRISE『【用語解説】メタバースとは?様々な企業やゲームにおける事例や取り組みを解説』

CLIP『「VRChatとは?大手企業が注目する理由と注意点」

THE HINDU『But,who spends $69 million on desital art?』