【コスト削減】ホテル・旅館・民泊業界にブロックチェーンを導入するメリット5選!

by AIGRAM

2022年現在、新型コロナウイルスの影響でホテル・旅館・民泊業界は大きなダメージを受けています。2021年の終わり頃には日本の感染状況は落ち着きを見せましたが、オミクロン株の出現により感染が再拡大。まさに「一寸先は闇」の、コロコロ変わる感染状況に困っているホテル・旅館・民泊業界で働く方も多いと思います。なんとかコストを削減しなければ、と色々対策は打ってみたけれど、もっと費用を安く抑えたい。そう考えているホテル・旅館・民泊業界の方々に導入を検討していただきたいのが「ブロックチェーン」と言われる暗号技術です。

今回の記事では、工学博士を取得し、株式会社AIGRAM代表取締役兼Fintech(ブロックチェーン)系ベンチャー企業のCTOを務めている伴直彦が、ブロックチェーンを導入することでホテルや旅館、民泊業界が可能になること、そして導入によって得られるメリットや実際の導入事例について解説します。

目次

1.ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンは、2009年に仮想通貨ビットコイン(Bitcoin/BTC)で初めて使われた新しい情報技術です。世界中で行われているビットコインの取引が定期的にまとめて記録され、過去の履歴とともに、世界中の多数のコンピュータ(ノード)に同じデータが保存されていることによって、事実上、改ざんが不可能となっている特殊なデジタルデータがブロックチェーンです。しかも、特定の企業が管理していなくてもブロックチェーンは動き続けますので、誰もが自分たちに都合のいいデータ操作をできなくなっているのです。

そうした特徴によって、ブロックチェーンの安全性、ひいてはビットコインなどの仮想通貨の信頼性が確保されています。

最初は、仮想通貨の譲渡相手と数量のみを記録していたブロックチェーンでしたが、やがて契約内容を記録し、条件を満たせば自動的に執行する機能を備えた「スマートコントラクト」が実装されるようになりました。

このように、ビジネス全般にまで応用できる汎用性を装備したブロックチェーンは、現在では、多様な業界の利便性や信頼性を改善させるソリューションにまで、その活躍の範囲を広げています。

2.ブロックチェーンを導入するメリット5選

ブロックチェーンを導入するメリットがあるのは、ホテルや旅館の業界も例外ではありません。2020年に予定されていた東京五輪によって、世界中から大勢の外国人観光客が押し寄せることが見込まれたため、その需要急増に対応するため、首都圏を中心に新しいホテルや旅館が次々と建てられました。しかし、ふたを開けてみれば新型コロナウイルスによる感染拡大によって、五輪は2021年に延期され、しかも無観客による開催で観光客はゼロに近いありさま。ほとんどのホテルや旅館が大打撃を受け、経営不振にあえいでいます。

しかし、未来を見据えて、思い切った業態変換やコストカットを断行できた旅館・ホテルが、どん底から復活し、生き残れる世の中となっていくでしょう。そこで今回は、旅館・ホテルにブロックチェーンを導入するメリットを5つ紹介します。

メリット①仲介手数料を撤廃できる

従来、宿泊を希望する旅行者を、ホテルや旅館に誘導していたのは、ほとんどの場合、旅行代理店でした。インターネットの普及に伴って、オンラインの予約サイトが次々と立ち上がりましたが、そのビジネスモデルの根本は旅行代理店とほぼ変わりません。主にネット検索によって予約サイトが宿泊希望者を集め、ホテルや旅館の宿泊料に、予約サイト運営企業の売上となる仲介手数料を上乗せすることで、割り増しの宿泊料金を予約者に支払わせてきたのです。平均すると、予約サイトに支払う宿泊料金の10~15%ほどが仲介手数料に相当するといわれます。

これは、旅行者にとっても不利益であるだけでなく、競争力が強くない中小規模の旅館・ホテルが宿泊料を無理に割り引かなければ集客できない悪循環に陥り、経営的に疲弊するおそれがあります。

この仲介手数料をゼロにして、むしろ予約者にちょっとした利益が入るビジネスモデルが、ブロックチェーンを中心に構築され、普及しつつあります。旅行代理店など特定の企業が管理しない、分散型(非中央集権型)の宿泊予約サイトがブロックチェーンによって実現されれば、サイトはホテル・旅館のリストを載せる役割に徹し、宿泊予約は旅行者とホテル・旅館との間で直接行えるようになります。

実質的に手数料なしでも運営できる根拠が「トークンエコノミー」です。トークンとは、仮想通貨に似た経済価値を伴うデジタルデータであり、ブロックチェーンのプラットフォーム上で機能します。宿泊料の一部が、独自のトークンとして宿泊者に発行されれば、そのトークンは、将来の宿泊料の足しにすることもできますし、仮想通貨取引所などでビットコインや日本円などに交換することもできます。宿泊者は手数料を支払うどころか、ポイント還元のような経済的メリットを受け取れるのです。

ブロックチェーン基盤の宿泊予約システムには、人手がほとんど介在しないため、宿泊手数料がなくても成り立つのです。このシステムが普及し、独自トークンの需要が高まれば、取引所で付けられる価格も上昇し、システムの制作者(トークン所有者)は利益を得られます。これが仲介手数料の代わりとなる売上となりうるのです。

メリット②キャンセル料を確実に受け取れる

ブロックチェーンは仮想通貨を扱うことができますので、決済機能を自動的に仲介することも可能です。たとえば、宿泊料の前払いに抵抗がある旅行者にとっては、宿泊料に相当する仮想通貨をいったんブロックチェーン上に預けておいて、チェックアウトが無事に済んだことを条件にホテル・旅館側へ支払わせることもできます。また、旅行者が無断キャンセルを行った場合も、ホテル・旅館側はキャンセル料を確実に受け取ることができるでしょう。

メリット③人件費を削減できる

さらに、客室のドアの鍵を、宿泊者の手持ちのスマートフォンで開け閉めする「スマートロック」とブロックチェーンを紐づければ、フロント係も不要になり、ホテル・旅館の人件費削減にも繋がります。

メリット④民泊にも応用が可能

ブロックチェーン基盤の予約システムが、ホテルからフロント係を不要にする可能性があるとしたら、民泊を行う人々や会社にとってもメリットが大きいといえます。なぜなら、同じ大きさや設備の客室があるとすれば、民泊では基本的に、ホテルよりも安い相場で提供しているからです。つまり、フロントのような宿泊手続きを行う人手や手間は、できるだけ省かなければ、事業として利益を上げにくいのです。

民泊の手続きで重要なのは、部屋の鍵の管理です。ホテルと異なり、フロントのような窓口がないのが通常ですので、宿泊者は外出時に鍵を預ける機会がありません。よって、鍵が紛失されてしまうリスクがあるのです。また、鍵の受け渡しのために郵便受けなどに入れておいたところ、悪意ある第三者によって鍵が盗難されるおそれもあります。つまり、民泊においてはブロックチェーンがスマホアプリと紐づいた「スマートロック」の必要性がより高いといえます。

チェックイン時間以降に、宿泊予約者のスマートフォンを検知すれば、民泊の部屋の扉に取り付けてあるセンサーが自動的に解錠します。また、チェックアウト時間以降になれば、そのスマートフォンで解錠することができなくすることも、ブロックチェーンで自動的に実現できます。

メリット⑤予約機能をアプリに一元化できる

もちろん、ホテル・旅館の予約機能を、民泊の予約機能と統合し、特定のアプリに一元化させることもできるでしょう。そうなると、ホテル予約の際に発行されたトークンを、民泊で使ったり、逆に民泊で発行されたトークンをホテル予約で使ったりと、業態の壁を超えてトークンエコノミーの範囲を拡張させることも可能です。

さらに、電車や航空機、タクシーなどの運賃、観光スポットの入場料、お土産屋の代金などにもトークンを利用できれば、旅行者にとってより価値の高いトークン経済圏が構築されていきます。ひいては、トークンの交換価値も引き上がっていき、実益にも結びついていくに違いありません。

3.ホテル・旅行業界へのブロックチェーンの導入事例

実際、フランスの「AXA」という保険会社では、航空機の遅延に伴う補償責任に関する手続きで、ブロックチェーンによる自動化システムを採用しています。2時間を超えるフライト遅延を検知すると、それを条件にスマートコントラクトが発動し、該当する乗客の口座に自動的にトークンが振り込まれる仕組みとなっているのです。

サマリー

宿泊予約を自動化できるブロックチェーンは、ホテル・旅館業界の常識を大きく変革できる可能性がある。たとえば、旅行代理店や宿泊予約サイトの運営会社などが徴収していた仲介手数料を、ブロックチェーンベースの宿泊予約システムでは不要とできるだけでなく、むしろ宿泊予約者にトークンを支払って実質的な値引きをする運用も可能となる。また、スマートロックによって物理的な鍵やフロント係を省略できるメリットもある。これらのメリットは、民泊でも同様に当てはまる。

おわりに

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参考文献

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