医療・健康業界へのブロックチェーン導入でできるようになること4選
ブロックチェーンは、仮想通貨を動かすための基幹技術として世界中で広く使用されています。しかし、その可能性は仮想通貨だけに留まりません。ブロックチェーンを導入することで、従来できなかったことが出来るようになる可能性を秘めているのです。
今回の記事では、ブロックチェーンを医療・健康(ヘルスケア)業界へ活用したら、どのようなことができるようになるのかまとめています。
目次
1.ブロックチェーン導入によって医療・健康業界が出来るようになること
①情報の非対称性が解決する
ブロックチェーンを使うことで、医療やヘルスケアに関する情報の非対称性を解決することが可能です。医療やヘルスケアの分野では、個人の体の詳細な情報を取り扱い、遺伝子情報や病歴など典型的な個人情報のデータを大量に取り扱う必要があります。そして、それらの個人情報に対して、その情報を必要としている関係者の数が非常に多くなっているのが現状です。
例えば、病院、医師、患者やその家族、製薬会社、保険会社、医学会、介護業界、自治体、学校など、ぱっと思いつくだけでもたくさんの関係者が思い浮かびます。そして、それぞれの立場があり、利害が対立しやすいことも医療・ヘルスケア分野における特徴です。
ブロックチェーンの技術を活用することで、第三者を排除した状態で情報を分散し、利便性を保持したままで的確に管理することが可能となります。
②患者の自由が確保される
ヘルスケアや医療分野における特徴の一つとして、患者が弱い立場になりやすいということがあります。専門的なデータや知識がないため、担当する医師や病院関係者の意思や決定に反論できず、任せきりになってしまう場合が多いのです。
もちろん、信用できる医師や病院と出会い、信頼関係が確立していれば問題はありませんが、それでもやはり患者の自由な意思決定は確立されていることが最善です。そのためには、診療情報や医療データ、自分の体に関する情報をすべて自由に利用し、好きな様に扱えるような状態でなければなりません。
患者は自分のデータを自由に扱うことで、他の病院や医療施設、ヘルスケア施設などでサービスを受けたり、意見を求めたりできるのです。さらには、自分の遺伝子情報や診断情報を患者自らの判断により、売買することも可能となりますし、他の専門家に見せることで
セカンドオピニオンを獲得することが容易となるでしょう。
③医療機関の治療やサービス充実に活用できる
ブロックチェーンは、患者や利用者に対してだけ利点があるものではありません。医療機関や薬局、ヘルスケア産業などにも大きな利点があります。それぞれの病院や薬局は系列でない限り、患者の個人情報である診療情報や診断書、病歴や症状などについて、データのシェアはできません。しかし、ブロックチェーンにより患者が自由に扱えるようになれば、それぞれの医療機関は最初から個人情報を聞き出し、検査をしてデータを作成する必要がありません。
さまざまな医療機関や民間ヘルスケア業者により蓄積された患者の個人データを本人から許可を得て閲覧し、治療やサービスに活用することができるからです。ブロックチェーンにより、膨大な業務の効率化はもちろん、重複する医療検査による医療資源の無駄使いがなくなり、より患者の治療や利用者のためにサービスを充実することができるでしょう。また、重複する検査や診断、投薬などを防ぐことにより、当然ながら患者本人の身体的、精神的負担に加え、金銭的な負担も減らすことが可能です。
④健康データの一括管理
ブロックチェーンが、健康産業や医療業界においても非常に有用なことは理解いただけたかと思います。他の分野同様に、医療業界やヘルスケア業界においても、すでに海外はもちろん、日本でも具体的なブロックチェーンの活用は進んでいます。
患者本人が身体情報や健康情報を管理できるアプリケーションのプロトタイプは、実際に運用が始まっています。実証実験を兼ねたプロトタイプでは、健康手帳やお薬手帳、母子手帳などを含めた個人の健康データを一括で管理して、医療機関やヘルスケア産業と共有することで、よりサービスの充実を図ることが期待されます。
個人の健康データには、病院などで診断された内容だけでなく、日々の血圧や活動量など、最新の情報が含まれているため、長年のかかりつけ医ですら知りえない情報まで瞬時に把握することが可能です。
2.今後のブロックチェーンの広がり
健康産業だけでなく、ブロックチェーンの活用は急速に広がることが予想されます。ブロックチェーンは、使い方次第であらゆる分野において必須の技術となるといっても過言ではないでしょう。ヘルスケア分野でも同様に注目され続ける存在であることは間違いありません。
ブロックチェーンを活用した医療システム、ヘルスケアシステムが確立されることで、より人々の健康と幸せな未来が広がっていくと思われます。
参考文献
デジタル化によるユーザビリティとブロックチェーン技術によるデータの価値の保証
医療・ヘルスケア産業とブロックチェーン、2020年の最新事例と考え方
ブロックチェーン活用によるヘルスケアデータ共有モデル構築事業
ブロックチェーン技術:ヘルスケアにおける次世代デジタルプラットフォーム