【超重要】学歴社会が終焉を迎える?|株式会社テックテク(techtec)がブロックチェーンで教育を変える!!
株式会社テックテク(techtec)は、ブロックチェーンを使用した新たな教育サービス「ポル(PoL)」を提供しています。この背景には、同社CEOの田上智裕氏の「誰もが自由に生きていける社会を作りたい」という強い想いがありました。
今回の記事では、工学博士を取得し、株式会社AIGRAM代表取締役兼Fintech(ブロックチェーン)系ベンチャー企業のCTOを務めている伴直彦が、テックテク(techtec)とはどんな企業で、PoL(ポル)とはどんなサービスなのか、そして、同社が目指す「学習歴社会」とは一体どんな未来かについて詳しく解説していきます。
目次
1.「学歴社会」から「学習歴社会」へ
日本社会はよく「学歴社会」と言われることがあります。就活市場では志願者の多い有名企業を中心に学歴フィルターが採用され、一定水準以上の大学を出ていない人は履歴書を見られることもなく選考から外されてしまうことが今でもよくあるそうです。
確かに、一昔前までは学歴フィルターは採用選考において非常に有効な手段の一つでした。特に有名企業の場合、学歴フィルターを使わずに応募者全員を選考対象にしてしまったら、採用担当者は膨大な数のエントリーシートの確認や、夥しい量の面接をこなす必要があり、現実的ではありません。そのため学歴フィルターを使って、ある程度数を絞ってから採用選考をするというやり方は効率的でした。これは1970年代ごろの日本の高度成長期において、ある程度画一的な働き方のモデルが浸透しており、学歴と優秀さ(仕事ができるかどうか)の間の相関係数が高かった時代だったからこそ、その効力を発揮できたのです。
しかし21世紀におけるインターネットの急速な発展によって、働き方のモデルが多様化すると学歴と優秀さの相関係数は下がってしまい、学歴フィルターはあまり有効な手段ではなくなってきました。つまり「従来の“学歴”という古い枠組みに囚われない、クリエイティブで優柔な人材」を取りこぼしてしまうリスクが高くなったのです。
2.株式会社テックテク(techtec)とは
そんな状況の中、学歴フィルターに代わる新しい解決策を提示する企業が現れました。それが、今回紹介する株式会社テックテク(techtec)です。テックテクでは、ブロックチェーンを活用した教育サービス「ポル(PoL)」を提供しています。そして、学歴ではなく学習歴によって、ちゃんと努力された人が正当に評価されるような社会(学習歴社会)の創造を目指してテックテク(techtec)は日々活動しているのです。
3.ブロックチェーン教育サービス「ポル(PoL)」とは
ポル(PoL)では、仮想通貨やブロックチェーンの勉強を中心としたオンライン教育サービスを提供しています。このサービスでは、ブロックチェーンの「ブ」の字もしらない初心者の方からブロックチェーンの最前線を知ってビジネスに生かしたいという方まで幅広い層に向けて無料/有料両方の体系的かつ網羅的なサービスが展開されており、非常に充実した魅力的なサービスとなっています。
4.PoLの2つの特徴
では、ポル(PoL)には一体どんな特徴があるのでしょうか。もしかしたら、世の中に溢れるe-learningサービスとの違いがよくわからないと思う方もいるかもしれません。そこでここでは、ポル(PoL)と従来のe-learningサービスとを比較しながら、ポル(PoL)が持つ強みについて深掘っていきます。
ポル(PoL)が持つ「強み」としては、大きく次の2つが挙げられます。
①学習するほどトークンがもらえる
②学習歴がブロックチェーン上に記載される
それでは、一つずつ解説していきましょう。
①学習するほどトークンがもらえる
ポル(PoL)は「Proof of Learning」、つまり「学習量による知識の証明」を表しています。実はPoLでは、学習すればするほどポル(PoL)トークンと呼ばれるサイト内通貨がもらえます。つまり、ポル(PoL)の保有量が多いほど学習量が多いと捉えることができるため、ポル(PoL)トークンを持っているということ自体が知識の証明となるのです。
このポル(PoL)トークンは決して難易度が高いカリキュラムだけに付与されるというわけではなく、ポル(PoL)全てのカリキュラムが対象になっています。そして、カリキュラムの難易度やテストの点数、他のユーザーの獲得状況などによって獲得量が変化する仕組みになっており、単なる学びの「量」だけでなく、学びの「質」も保有量に反映される仕組みになっているのです。
このような仕組みにすることで、資格や学歴やテストの点数といった「結果」だけではなく、行動やスキルや意欲といった従来の評価軸とは全く別の(しかし重要な)評価軸を社会に対して提供しているのです。
また、こうして発行されたトークンはさらなる学習機会へアクセスする権利にもなります。具体的には、ポル(PoL)の無料カリキュラムを学習することで獲得したポル(PoL)トークンは、有料カリキュラムで使用することが可能になるのです。
ブロックチェーン業界は比較的新しい市場の領域ですので、ブロックチェーンで何かを成し遂げたいという意欲があっても、活躍する機会に恵まれなかったり、そもそも同キャリアを積んだらいいのかわからないという方も大勢います。このポル(PoL)の仕組みは、まだ何もない個人が学習を起点として様々な成長の機会にアクセスできる仕組みとなっているのです。
②学習歴がブロックチェーン上に記載される
このようにして学習をトークン化することによって、ブロックチェーンで管理することが可能になります。ポル(PoL)では個人の学習履歴をブロックチェーン上に記載しており、データを第三者が改竄できない状態で個人の学習行動を評価することができます。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、海外では学位の詐称や研究データ不正の問題が多く残っています。ブロックチェーンによる管理は、このような国際的な問題の解決策としても大きく期待することができるのです。
さらにポル(PoL)では、「仮想通貨」「ブロックチェーン」「ブロックチェーン応用」の三つのカリキュラムを受講することができますが、このうち「仮想通貨」と「ブロックチェーン」に関しては修了証がNFT(Non-fungible Token)にて発行されます。
NFTについて知りたい方はこちらをご覧ください。
『【超重要】NFTアートとは?|基本知識から買い方までわかりやすく解説!』
同社CEOの田上智裕氏はこのNFT修了証の発行に際して『これもNFTを利用した一つの事例にはなりますが、NFTの本質はコンテンツの存在証明や所有権証明です。PoLでは、本来NFTが実現したかった本質に立ち返り、誰からも改竄されずに第三者の証明が必要のない「個人が何を学習したか」という証明をNFTを使って実現していきます』とコメントしています。
5.DeFi(分散型金融)への取り組み
さらに2020年10月には、英Aaveより資金調達を実施し、日本初の「日本発DeFiプロダクト」の構築に着手し始めました。DeFi(Decentralized Finance, 分散型金融)とは、従来の金融機関のように中央で金融資産を管理する中央集権システムを必要とせず、自立分散的に金融資産の管理を可能にした金融サービスのことを言います。有名なDeFi関連銘柄としては、コンパウンド(Compound/COMP)やユニスワップ(Uniswap/UNI)、アイオーエスティー(IOST/IOST)などが挙げられます。
一般的にDeFiには、手数料が安い、地域にかかわらず利用ができる、金融機関の仲介が不要などといったメリットがあります。しかし、DeFiには大きな課題が残されています。それが過剰な担保率です。
例えばDeFiの一つであるレンティングサービスのコンパウンド(Compound/COMP)は手数料が非常に低いというメリットがあるものの、借り入れを行う金額の150%の資金がウォレットに預け入れられていなければ借り入れを継続できません。この150%という数字を従来の金融機関と比べてみましょう。例えば住宅ローンで有担保融資を行う場合は購入した住宅自体が担保になることが多いですが、新築の住宅は購入後価値が減少する傾向があること(リセールバリューが低いこと)を考慮に入れれば、担保率は100%を下回ります。さらに住宅ローンの場合は必ずしも現金で担保を用意する必要もありませんので、誰もが借りやすいです。それに対してDeFiは担保率が高く、しかもその担保をウォレットに預け入れておかなければいけないというデメリットがあるのです。
そのようなDeFi市場の大きな課題を解消するべく、techtecは新しいDeFiの開発に着手したのです。ポル(PoL)で学習したデータは「learning Score(ラーニングスコア)」としてブロックチェーン上で記録されますが、同社が構築中のDeFiは、このラーニングスコアに接続されていることが最も大きな特徴となります。これによって、ポル(PoL)で学習することによって蓄積されたラーニングスコアを軸に評価することで、DeFiを利用する際の担保率を一部ポル(PoL)で肩代わりすることができ、結果的に過剰な担保率を下げる役割を果たすのです。
個人的な見解ですが、この試みが成功すれば、これはブロックチェーン産業の大きな発展に寄与する可能性があります。ブロックチェーンに限らずですが、ベンチャー企業は創業したら積極的な投資が必要となってくるため、銀行からの多額の融資が必要になってきます。しかしベンチャー企業は総じてリスクが高いため、銀行は融資を渋り高い利子率が適用されてしまうのです。これが、ベンチャー企業の大多数が資金繰りに喘ぎ、創業後5年以内に倒産してしまう理由です。しかし、このテックテク(techtec)の試みが成功すれば、ポル(PoL)でブロックチェーンについて学んでその知識をもとに起業し、ラーニングスコアと紐づけられたDeFiで融資を受けるということが可能になります。これには、ブロックチェーン業界のさらなる大きな発展を予感せずにはいられません。
6.「オラクル問題」の解決へ
さらに同社は、ブロックチェーン業界の抱えるもう一つの課題を既に克服しています。それが「オラクル問題」です。ブロックチェーンはデータベースの一種といえるため、データを記録する際にはブロックチェーンの外からデータを取得する必要がありますが、この時、ブロックチェーンに記録するデータを提供する役割を果たす全ての要素を総称してオラクルと呼びます。もっと詳細に述べると、オラクルとはブロックチェーンに対して外部から情報を提供する役割を担う要素のことです。
そしてオラクル問題とはオラクルが提供するデータに誤りがあった場合、ブロックチェーンに誤ったデータが記録されてしまうというリスクのことを言います。平たく言ってしまえば、「ブロックチェーン上に記載された情報は改ざん不可能かもしれないけれど、そもそもブロックチェーン上に記載する情報が間違っていたら意味がないよね」ということです。
これまでオラクル問題に対してはブロックチェーン業界各社解決策が見いだせない状態でしたが、ポル(PoL)はこのオラクル問題を克服しています。つまりPoLではユーザーの学習行動に応じて自動的にトークンが発行されるので、オラクル問題を克服できるのです。まだまだ多くのブロックチェーン企業ではオラクル問題を乗り越えられない状態にあるので、このポル(PoL)の事例はブロックチェーン企業がオラクル問題を乗り越えた貴重な事例として、今後活用されていくのかもしれませんね。
7.おわりに
今回は、株式会社テックテク(techtec)と同社が提供しているサービスについて解説しました。
このサイトではブロックチェーンに関連したビジネスや暗号通貨についての記事を発信しています。今回の記事が良かったという方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。
また、株式会社AIGRAMではブロックチェーン/AI技術を用いたWeb開発やアプリ開発、エンジニア育成、技術コンサルのご依頼を承っています。興味がある方は、ぜひコチラからご連絡ください。
参考文献
techtec『PoLトークンの説明とブロックチェーンの使い方』
HEGE GUIDE『ブロックチェーンを教育に活用。次世代の教育が作り出す、学習の在り方は』
withB『ブロックチェーン業界での成長と英語学習-techtec創業の田上氏』